サクッと手軽に読める打楽器お役立ち情報

ヴァイブラフォン/ビブラフォン

ヴィブラートさせるファン(回転する羽)が付いた鉄琴。

ペダルがついており、ピアノのように音の響きを調節することができる。

ビブラートさせるのがビブラフォンの基本奏法であり、ビブラートさせない同型の鉄琴は「メタロフォン」と呼ばれる。

vibraphoneまたはvib./vibes.(省略形)

vibraphone, vibes. vibraharp【英】
Vibraphon【独】
vibraphone【仏】
vibrafono【伊】

木琴と同じく鍵盤打楽器である。音板は金属で、各音板の下に金属製の共鳴筒がついている。共鳴筒のなかには心棒が横にとおり、心棒の先端はモーターに繋がっている。各共鳴筒のなかの心棒にはファン(羽根)がついていて、モーターを回すと共鳴筒のなかでファンが回転する。共鳴筒に響いた残響はファンの回転によってヴィブラートがかけられ、ヴァイブラフォン独自の魅力ある音色をつくりだす。音板の下側には、フットペダルに直結したダンパー(振動をとめるもの)がとりつけられ、ペダルの操作によって余韻を長くしたり短く切ったりする。音域はf-f’’’の3オクターブが一般的であるがc-c’’’’の4オクターブのものも作られている。元来のヴァイブラフォン特有の音色を得るためには、ゴムの芯に毛糸を巻いた柔らかいバチを用いるが、現代音楽では鋭く硬い音も要求されることがあるので、多くの種類のばちが必要となる。またヴァイブラフォンの生命であるモーターを用いず、ヴィブラートを付けずに演奏することもある。

1907年アメリカで最初の楽器が作られ、1916年にはウィンターホフ Hermann Winterhoff が、共鳴筒を上下させヴィブラートをかける方法を発案し、1921年ごろより現在の機構のものが用いられている。ダンス・オーケストラには欠くことができない楽器であったが、それ以外の音楽の分野にも徐々に浸透し、1934年にはベルク A.Berg が歌劇≪ルルLulu≫のなかで使用、戦後ではブリテン B.Britten の≪戦争レクイエム War Requiem≫(1961)で鐘の印象をつくり、ブーレーズ P.Boulez の、アルトと6楽器のための≪主のない槌 Le Marteau sans maitre≫(1955)では複雑な奏法が要求されるなど、ジャズとともに現代音楽におていも欠かせない楽器のひとつになっている。最近では、共鳴筒がなく、電子振動を音源とするシンセサイザー・ヴァイブが作られている。この楽器の音域もf-f’’’の3オクターブあり、小型ケースに収納できる。ヴァイブラフォンが世に出た初期の頃、電源が無いときに使用するために、手回し式やゼンマイの動力でファンを回転させる機種が存在していたことがあるが、最近では電池を用いてモーターを回す電源不要の機種も作られている。【網代景介・岡田知之共著「新版 打楽器事典」】

※マッサー社製のビブラフォンにはペダル部分にハープがかたどられていたため、「ヴィブラハープ」と呼ばれていた時代もあった。

主なメーカー

SAITO(サイトウ)
Musser(マッサー)
YAMAHA(ヤマハ)
DEAGAN(ディーガン)

ビブラフォンやシンバルを弓で上手く鳴らすポイント4つ

初めて買うMyマレット!選び方、予算、おすすめは?【マリンバやビブラフォン】

4本マレット 鍵盤打楽器のマレット持ち方(グリップ)の基本まとめ

パーカッション大事典トップへ