木製の小物楽器。似たような楽器がいくつかあるが、木魚とは別物。
大きく分けて2種類の形がある。
角形ウッドブロック
丸形ウッドブロック
wood block
Holzblock, Holzblocktrommel, Holztrommel, chinesischer Holzblock, Rohrenholztrommel【独】
bloc de bois, bloc de bois cylindrique【仏】
cassettina(di legno), legno, blocco di legno【伊】
硬質の木をくりぬいて、音の響きをよくするためにスリット(割れ目)をつけた体鳴楽器で、角形と丸形の2つの方がある。角形は長方形で、硬い木でできていて、表面に近いところ(打つ場所)に共鳴させるための溝が掘ってある。大きさは長さ19㎝、幅7.5㎝、厚さ5㎝前後のものが一般的である。音の高低は材質や溝の掘り方、または大きさによって異なり、大型のものが低い音がするとは限らない。数種類の音高がほしいときには、大きさに頼らず、実際にたたいてみて、音列を決めなければならない。音は硬くよく響く。打ち物には木琴の硬いマレットや、小太鼓のスティックなどが用いられ、大太鼓のふちにホルダーで取り付けたり、2個または3個(それ以上)をスタンドに取り付けて演奏される。丸形のウッドブロックは直径5㎝、長さ26㎝ぐらいの木を丸くくりぬいて両側に溝を掘り、中央をホルダーで止める。溝の掘り方によって左右の音の高さがちがう。音質は角形よりも少し柔らかいが、1個で2つの音程が得られる便利さがある。
Rohrenholztrommel(レーレンホルツトロンメル)、bloc de bois cylindrique(ブロック・ド・ボワ・シランドリク)は丸形のものを意味する。このほか、テューナブル・トーン・ブロックといって、音程を変えることのできるものや、ひじょうに小さくて高音のでる、ピッコロ・ウッド・ブロックなどがある。ウッド・ブロックがオーケストラの作品に用いられたのは20世紀に入ってからで、ヴァレーズ E.Varese、ミヨー D.Mihaud、プロコフィエフS.Prokofiev、コープランドA.Copland、ウォルトンW.Walton、バーバーS.Barberなどが使用している。Chinese wood block(ウッドブロック)とChinese block(木魚)はひじょうに混同しやすく、ことの西洋人が東洋の楽器をよぶ場合には、やむをえないともいえる。できれば英語の場合、wood block(ウッドブロック)とtemple block(木魚)に統一したいものである。【網代景介・岡田知之共著「新版 打楽器事典」1981年】
※現在ではwood block(ウッドブロック)とtemple block(木魚=テンプルブロック)にほぼ統一され、一般的となっている。