打楽器教則本のレビューとおすすめポイントを書いていきます。
教則本、どれ読んでみようかな?買おうかな?と迷った時の参考になれば幸いです。
今回は 深町 浩司 著「新しい打楽器メソード 〜ストロークをシステム化する」です。
全体の印象
打楽器経験者向けの本です。
音楽の演奏とシステム?
一見、相いれないイメージを持つかもしれません。
楽器や身体を操作して演奏する、音楽表現をすることを考えれば、システムという言葉がしっくりくると思います。
なるべく難しい言葉を使わず、順を追って論理的に解説されているので、打楽器経験者であれば子供から大人まで理解しやすいと思います。
理解を助ける豊富な図や画像をはじめ、参考動画もすぐ見られるようになっています。(動画はQRコードで読み込みすぐアクセスできるようになっています)
また、打楽器を演奏するうえで不可欠でありながら楽器任せ・バチ任せになりがちだった「音色」をストロークで変化させる具体的な方法について詳しく解説されています。
打楽器を指導する立場としても、身体の使い方・音色についてレッスンする際のアプローチを増やすことができると感じました。
印象的だった点
- フロアタムとスネア、ヘッドテンションの異なる楽器でストロークを安定させる方法
- 意外と知らない筋肉や骨の仕組み(特に指と手首の動作について)
- 実際に曲のなかでストロークをどのように使い分けるのか、譜例つきの解説があり理解が深まる
個人的に印象的だったのは第1部「ストロークの現状を見つめる」です。
そもそも「いい音」を出すまでにある程度の修練が必要な管楽器や弦楽器と初心者でも誰でも音が出せてしまう打楽器を比較・考察した「簡単に音が出せない仕組みとアカデミズム」の項は印象的でした。
打楽器の演奏はなぜ理解されにくいのか、打楽器奏者でも理解できない「謎の教え」がなぜ生き続けているのか、など。
なかなか触れる機会のない打楽器の現状に切り込む話が第1部に盛り込まれています。
打楽器をある程度続けると気になってくる話題が見事に言語化され、モヤモヤが一度にすっきりするような濃い内容でした。
まとめ
音色に関する具体的な奏法についてここまで詳細に解説している本は珍しく、限られていると思います。
- 音色について悩みがある打楽器経験者向け
- 豊富な図画像、動画つきで安心して読める
- 論理的に解説されているため理解しやすく、誰かに説明するときも伝えやすい(レッスンする側にもおすすめ)
完結している・閉じられた領域の本ではないため、自身の経験やアイディアと照らし合わせれば多くのヒントを得ることができます。
今後も繰り返し読んで、「自分のもの」にしていきたいと思います。
それでは、また!
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