こんにちは!打楽器の吉岡です。
今回は放牧の道具から始まったカウベルの歴史と2つのカウベル、スイスカウベルとラテンカウベルについて書いていきます!
同じだけど違う、2種類のカウベル
cow(カウ)=雌牛、(特に)乳牛
bell=鐘,鈴
音楽の授業や吹奏楽、ポップスなどで使われる黒くて四角っぽいカウベルは、牛が首から下げているカウベルではありません。(黒くない場合も有り)
このカウベルは、主にヨーロッパ大陸での放牧に使われていたカウベルが中南米にわたり、演奏に使うための「楽器」として改良されていったものです。
クラシック系打楽器奏者の間では、家畜がつけている元々のカウベルを「スイスカウベル」「アルムグロッケン」「スイスベル」、黒いカウベルは単に「カウベル」と呼ぶことが多いです。
「ラテンカウベル」でネット検索すると、確実にいつもの黒いカウベルにヒットします。
専門的には他にもいろいろと呼び方があるようです。
紛らわしいですね…。
でも、それだけ広く普及している楽器ということですね。
参考 ボンゴベル?? じゃあ、コンガベルは?ボンゴセーロにまかせーろ!!
スイスカウベル
牛など家畜につけているカウベルは丸っこく、中に金属の舌がぶら下がっていてるので、家畜が動くとカランカラン鳴るようになっています。
(鈴のようなかんじ)
4㎝ほどの小さなものから、両手で抱えるほど大きなものまであります。
広いアルプス山脈で放牧するとき牛の居場所が分かるようにカウベルを付けていた他、お祭りでは牛に派手なカウベルを付けて街を練り歩いたりしたそうです。
スイスカウベルの音
小さいサイズの音
楽器として売られているスイスカウベルの音↓
中サイズのスイスカウベルの音
放牧っぽいカウベルの音↓
のどかな音です。
大きなスイスカウベルの音
大きなカウベルはこんな音。
思った以上に低くて鈍い、バケツのような音です。
スイスカウベルが使われている曲
リヒャルト・シュトラウス作曲「アルプス交響曲」の山の牧場 Auf der Alm (練習番号50~51)、
グスタフ・マーラー作曲の「交響曲第6番」3楽章・4楽章でひっそり使われています。
振って鳴らしたり、マレットでたたいて鳴らしたりします。
ドレミが出せるようにチューニングされたスイスカウベルも現代曲などで使われています。
ラテンカウベル
ラテン音楽で使われるように改良されてから、バチでたたくようになりました。
実際の奏法についてはこちら
カウベルの基本~持ち方・たたき方・ミュート・スタンド・バチについて
大小いろいろ
現代曲などで、音程の異なるカウベルをいくつも並べて使うこともあります。
ドラムやティンバレスと
ドラムセットに組み込まれたり、ティンバレスとセットで演奏されることもあります。(チャチャベルと呼ばれたりします)
まとめ
- 元々は放牧する家畜に付けられていた鈴
- ラテン音楽で使われるカウベルは中南米で改良したもの
- 伝統的な形の楽器は「スイスカウベル」
- 様々なサイズがある
以上、カウベルの歴史&スイスカウベルとラテンカウベルの違いについてでした。
それでは、また!
参考
網代景介・岡田知之共著「新版 打楽器事典」