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たたかない太鼓!?ガラスや紙の楽器!?「こすって音を出す打楽器」大集合!(動画つき)

washboard

こんにちは!打楽器の吉岡です。

打楽器と言えばたたく楽器振る楽器、そしてこする楽器ですね。

こする楽器はこすったらこすった分だけ音が続く、「なめらかに音を繋げられる」特徴を持っています。

今回はこすって音を出す楽器の代表「ギロ」のほかにはどんな楽器があるのか?紹介していきます!

MEMO
今回はシンバルをトライアングルのバチで擦ったり、ドラをスーパーボールで擦る、コンガのグリッサンドなど特殊奏法は除いて紹介していきます!

↓特殊奏法はこちらをチェック!
ビブラフォンやシンバルを弓で上手く鳴らすポイント4つ

ギロ

ギロ
ギロ

擦る楽器としては知名度抜群のギロ!

「ギロ(Guiro)」と表記されますが、実際の発音は「グィロ」に近いそうです。

ラテン音楽を代表する楽器です。

ラテン音楽、世界地図
中南米の音楽がラテン音楽

ゆっくりこすって長い音を出したり、勢いよく擦って短い音を出したり、様々な擦り方を組み合わせてリズムを刻んでいきます。

簡単そうに見えて、実は奥が深い楽器です。

ギロのガチソロを聴いてみよう!

実は近現代のクラシック音楽でも使われており、ストラヴィンスキー作曲の「春の祭典」などでオーケストラで活躍するギロの雄姿が見られます!

ギロの仲間は世界中に

「ギロ」は本来ヒョウタンでつくられた楽器で、竹や木でできたものは「レコレコ」と呼ばれるそうです。

現在はプラスチック製や木製、金属製など様々な素材が多いですが、木のものはメキシコ製が多く、竹の物はブラジル製が多いです。

アメリカ南部のジャグ・バンドやケイジャン音楽で使われるウォッシュボード(洗濯板)や中国や朝鮮の古楽に使われるギョもギザギザした表面を擦って音を出す楽器です。

ギロの仲間は地域、時代、文化を問わず世界中に分布しています。

ギョはトラの形をしています!

Wikipediaより引用

ギョは背中のギザギザを手前のバチで擦って鳴らします。

ギロと違ってリズムを刻むことはなく、曲の合図として3回鳴らされるだけのようです。色々な使い方がありますね…!

カバサ

ラテン楽器カバサもこすって音を出す楽器です。

ギロのようにギザギザした表面にじゅずが巻き付けられていて、それを擦って音を出しています。

元々はヒョウタンに糸で編んだビーズを巻きつけて作っていました。

擦るのみならず、たたいて短い音を出したり、長く音を伸ばすロール奏法などもできます。

カバサのガチソロ。すごい。すてき。↓

サンドペーパーブロック

工作で使う紙ヤスリを木片などに貼り付けた楽器です。

楽器として作られたものではありませんが、こすり合わせて演奏します。

「トランペット吹きの休日」で有名なルロイ・アンダーソンが、なんとサンドペーパーのための曲を作っています!

他の楽器では出せない、独特な味です♪

ルロイ・アンダーソン作曲「サンドペーパー・バレエ」

この曲以外にも、J.ガーシュイン「ポーギーとベス」のほか汽車の擬音として使われるなど、様々な曲で使われています。

打楽器アンサンブルバージョンも!

クイーカ

wikipediaより引用

見た目は太鼓、でもたたかない不思議な太鼓クイーカ。

主にサンバで使われる楽器で、とてもユニークな音が出る楽器です。

太鼓の皮に棒が取り付けられていて、その棒を湿った布などでこすって音を出します。

こすりつつ、片手で太鼓の面を押したりゆるめたりすることで、高い音や低い音を出すことができます。

(なので、しゃべっているように聞こえます…!)

言葉だと伝わりにくいので、ぜひ音を聴いてみてください♪

まるで動物の鳴き声のように変幻自在な「ウホウホ」という音色が特徴的なクイーカ!

「できるかな」のゴン太君の声にはクイーカが使われていました。

グラスハープ(ミュージカルグラス)

水を入れたワイングラスのふちを指で擦って音を出す楽器。

グラスの厚さや大きさ、水の量で音程が変わるのでドレミファ~と鳴らすことができます。

サンドぺーパーと同じく楽器として作られたものではありませんが、擦って音を出す立派な楽器です。

300年程前にはすでに演奏されていたそうで、意外と長い歴史を持つ楽器です。

たたくよりも擦った方が大きな音が出ます!

本格的なグラスハープの演奏は想像を絶するもの!
豊かな倍音でよく響きます。ぜひ音を聴いてみてください!

ソロ楽器として演奏されるほか、ジョセフ・シュワントナー作曲の吹奏楽曲「そしてどこにも山の姿はない」などでも使われています。

MEMO
グラスハープを演奏しやすくピアノのように改良した「グラスハーモニカ」という楽器もありました。18世紀中ごろ~19世紀初頭に大流行していたため、実はベートーベンやモーツァルトがこの楽器の為に曲を作っています。名だたる大作曲家が打楽器の曲作ってたんですね…嬉しいです。笑

シンギングボール

曲で使われることはあまりないのですが、近年ヨガやヒーリング関連で注目されている楽器です。

見た目は仏壇やお寺にある「りん(またはキン)」と似ていますが、バチでふちを擦って音を出します。

グラスハープと似た感じで「フォオオオオン~」と倍音豊かな音が鳴り続けます。

簡単そうに見えて、ただ鳴らすだけでもコツがいる楽器です。

元々は仏具として使われおり、紀元前よりチベットを中心にアジアで広く使われてきた楽器(音具)と言われています。

おわりに

以上、「たたかない太鼓にガラスや紙の楽器!?「こすって音を出す打楽器」大集合!」よいうことで

ギロ
カバサ
サンドペーパーブロック
クイーカ
グラスハープ
シンギングボウル

の紹介でした!

より深く突っ込んだお話は姉妹サイト吉岡Eppaのalla昆布にて掲載予定です。

それでは、また!

参考

網代景介・岡田知之共著「新版 打楽器事典」音楽之友社

西岡信雄 著「人と神と音 楽器をフィールドワークする」ミュージックトレード社

敔(ギョ) フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

グラス・ハープ フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

シンギングボウルとは?