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打楽器の「遅れて聞こえる」の原因3つと改善方法まとめ

こんにちは!打楽器奏者・講師の吉岡です。

合奏やアンサンブル時に指摘される「遅れて聞こえる」問題。
特にバスドラムやティンパニといった低音楽器に多いかと思います。

ザックリと「素早くたたく」だけでは解決できないこともあります。

今回は遅れて聞こえてしまう原因と解決方法についてまとめていきます!

空間の問題(時差や響きの違い)

夏のコンクールに向けてホール練習をする吹奏楽部
大きなホールほど時差も大きい!

演奏する場所によって変わってくる「時差」の問題。

演奏者は遅れてないつもりでも、遅れて聞こえてしまうことがあります。

ステージ上で合っていてもお客さん側で遅れて聞こえていたらそれは遅れていることになります。

プロ奏者の方々は経験を頼りに、早めに入ったり鳴らし方を工夫したりしています。

聴きすぎていないか?

周りの音をよく聴いて演奏している反面、入りが一瞬遅くなっている可能性があります。

音楽室ではあまり気にならなかった「わずかな遅れ」が、同じように演奏していても広いホールでは「目立った遅れ」になってしまうこともあります。

・改善方法

聴くことも大切ですが、時差が大きい会場では周りの奏者の動きや指揮をよく見て演奏していきます。

耳だけではなく、目からの情報を優先して少し早めのタイミングで演奏してみましょう!

セッティングは適切か?

楽器どうしが離れすぎているとズレて聞こえやすくなります。

・改善方法

無駄なスペースがないように、なるべく近づけてセッティングしましょう!

本番のステージが広いと、つい普段よりも広げてセッティングしがちです。
いつも通りの距離感でセッティングしましょう。

6人以上など大きな編成の打楽器アンサンブルでは、横一列に並ぶよりも前後に列を作って演奏者同士を近づけた方が合わせやすくなります。

詳しくはこちらで

「打楽器アンサンブルあるある」解決のヒント10連発

響きの問題

狭い場所ではちょうどよくても、広いホールでは響きすぎてハッキリ聞こえないことがあります。

・改善方法

ミュートを上手く使って楽器の響きを調節してみましょう。

(次項で説明するバチやマレットを買える方法もあります)

ミュートについて詳しくはこちら

ミュート=弱音とは限らない!~素晴らしき打楽器ミュートの世界

奏法・楽器の問題

バチの選択も実力のうち!

バスドラムやティンパニなど楽器が大きくなるほど楽器全体が振動するまでに時間がかかるため、遅れて聞こえやすくなります。

奏法の見直し

打楽器の場合、たたく前に振り上げすぎたり無駄な動作が入ると、出てくる音も遅れてしまいます。

また、タイミング自体は合っていても、たたくスピードが遅ければ遅れて聞こえます。

・改善方法

基礎に立ち戻って、無駄のない奏法を身につけましょう。

ボールを素早く遠くへ投げるように、スピードをつけてたたく練習も効果的です。

打面近くからでもしっかり鳴らせるテクニックも必要です。
(壁に手をついて体重をかけ、手を伸ばすことでそこから離れる…といった動作が参考になるかと思います。)

太鼓の音のスピード感とは?

音のスピード・深さって何?太鼓を押して感覚をつかもう!【初心者おすすめ】

楽器によっては遅れて聞こえやすいものがあります。

下記記事を参考にしてみてください。

スレイベル、主な奏法&音を出さずに置く方法

タンバリンを歯切れよく タンバリンの鋭い音・キレのある音はどう出す?

マレット・バチ類の選択

やわらかいまたは重いマレット・バチほど遅れて聞こえやすくなります。

・改善方法

柔らかいまたは重いマレット・バチを使う時は少し早めのタイミングで入る、など状況に合わせて調節していきましょう。

奏者の体格や筋力に合わせて無理のないマレット・バチを選ぶことも重要です。

音色に問題が無ければ、一段階硬いor軽いマレット・バチに変えることも手段のひとつです。

楽器の反応

楽器の反応が悪く、音の立ち上がりが遅いと出てくる音も遅れて聞こえます。

改善方法

太鼓系はチューニングで調節してみましょう。

スネアドラムの場合、裏側のスネア線左右のボルトを少し高めにチューニングすると、スネア線の反応が良くなる場合があります。

チューニングについて草しくはこちら

印象が大きく変わる!打楽器アンサンブル太鼓系チューニングのポイント2つ

シンバルやドラなど金属系打楽器は、あらかじめ少し振動させておくと立ち上がりが早くなります。

いきなりフォルテで一発!というときに使えるワザです。

少し振動させておく話はコチラ

サスペンドシンバル(サッシン)のコツと練習方法・ロール編

感覚の問題(体内メトロノームのズレ)

演奏者の脳内で起こっていること

演奏者自身の感覚に原因があるパターンです。

体内メトロノームがゆるい

手は速く動いていても、演奏者の体内メトロノームがユルユルしていると遅れて聞こえます。

メトロノームに合ってはいるけど、なんだかリズムのノリが悪い状態ですね。

・改善方法

手拍子や行進など、身体を使ってテンポを感じる練習をしてみましょう!

テンポに合わせて縄跳びするのもいいですよ。

かっこいいダンサーのように、キレのある動きを目指してみてください。

ノリよくたたく、とは?

シンプルなリズムでノリよく!って、どういうこと!?

「離れる瞬間」を使って音楽の推進力を自在にあやつる!

テンポ感の共有

リズムは理解しているけど、何だか周りと合わない時。

各自が感じているテンポが微妙にズレているのかもしれません。

・改善方法

ハイタッチをするように、仲間と手拍子してみましょう!
(お互い同じ強さで安定してたたけるようにします)

仲間と体内メトロノームを揃える練習

手遊び感覚のペア基礎練習「crosstalk」

テンポ共有の練習方法

原因を突き止めることが解決の近道

練習時間は実験時間だったりする

空間や楽器に原因があるのか?
演奏者の感覚に原因があるのか?

見極めることが解決の近道です。

ただし原因がひとつとは限らないので、試行錯誤を重ねる必要があるかもしれません。

演奏に対する「不安」も音が遅れてしまう原因のひとつです。

自信をもって自分の音を出せるように、分からない部分がないようにしたり、音源があれば繰り返し聴いたり、確実な練習を重ねていきましょう!

まとめ

以上、打楽器の「遅れて聞こえる」の原因3つと改善方法まとめでした!

遅れて聞こえる原因3つ
  1. 空間の問題(時差や響きの違い)
  2. 奏法・楽器の問題
  3. 感覚の問題(体内メトロノームのズレ)

「早めにたたく!」が手っ取り早いですし、そうするしかない時も多いですが、状況に合わせた解決方法をいくつか持っておきたいですね。

それでは、また!