こんにちは!打楽器奏者の吉岡です。
マリンバ・シロフォンの鍵盤は木でできているため、湿気や気温の影響を受け続けてきた楽器は音程が狂ってきてしまいます。
数年前、私も10年近く使ってきたマリンバを調律に出したら、見事にリフレッッシュしました!
今回はあまり知られていない「マリンバ・シロフォンの調律」について紹介します!
調律(チューニング)
管楽器や弦楽器の場合、楽器を出したらチューニング、あとは音程を低めにしたり高めにするなど調節しながら演奏することができます。すべて演奏者自身で行うことができます。
一方、ピアノのチューニング(=調律)は専門の調律師さんに依頼することになります。
シロフォン・マリンバはピアノと同じく専門の調律師さんに依頼して、チューニングしてもらうことになります。
では、一体どのようにして音程を変えるのでしょうか。
お察しのとおり、「鍵盤を削ること」によって音程を調整していきます。
木は一度削ってしまうと元に戻せないので、専門的な知識と経験が必要とされる作業です。
シロフォン・マリンバ調律のしくみ
吉岡さん(中2)
実は削る位置によって、音程を高くすることも低くすることも可能です。
あまりにも音程の悪い鍵盤があったり、年数がたっている楽器は調律してもらうことで生まれ変わるかもしれません。
マリンバはどのようにして作られている?
音程の生み出す木の削り方
ただ切り分けただけの木の板や棒を並べても木琴の音は出せません。
鍵盤の大きさ+削る深さや場所によって平均律に調律され、「ドレミファ…」がハッキリ聞こえるようになります。
調律する倍音の違いにより、マリンバとシロフォンでは鍵盤の削り方が違います。
(音色が全く違うのもこれが原因)
倍音の違いについて詳しくは関連記事をご覧ください。↓
音程を高くする時
下図の上のように鍵盤の両端を削ることで音程を高くすることができます。
また、下図の下のように、(見えづらいですが)鍵盤の両端の裏を軽く掘ることによって音程を上げることも出来ます。
音程を低くする時
音域によって鍵盤のサイズは変わりますが、掘る深さや面積も変わってきます。
音程を低くしたい場合は、中央部分を深めに掘って調節します。
下図のように、高音域の鍵盤に比べて低い音域の鍵盤は中央部分が薄いため、割れやすくなっています。
5オクターブマリンバやバスマリンバにあるへ音記号五線下の方の音域をたたく時は、柔らかめのマレットで力を逃がしながらたたく必要があります。
割れてしまった場合、その鍵盤はノイズが入ったり音が響かなくなります。
修復可能な場合もありますが、鍵盤交換になる場合もあります。
交換すると鍵盤1本だけで数万円するので、丁寧に扱いましょう!
調律は必ず楽器屋さん・メーカーへ
木は一度削ってしまうと元に戻せないので、木琴系の調律は専門的な知識と経験が必要とされる作業です。
音程がおかしくなってきたな?と思ったら、
ピアノと同じく、自分でやらずに必ずプロに相談・依頼してください。
鍵盤の調律
数年前、10年程使ってきた「こおろぎ社」のマリンバを調律へ出しました。
5オクターブの楽器でしたが、調律代は¥50,000~¥60,000ほどでした。
こおろぎ社の方に鍵盤を取りに来ていただき、1週間ほどで調律が完了した鍵盤が戻ってきました。
学校にある一般的なマリンバ4オクターブならもう少し安く済ませられるかもしれません。(楽器の状態などによる)
メーカーや打楽器屋さんにお問い合わせください。
楽器メーカー
楽器屋さん
マリンバの解体・梱包のやり方
鍵盤を買い替える
鍵盤が大きく削れていたり傷んでいる場合は、鍵盤を交換することもあります。
こおろぎ社は鍵盤1本から交換することが可能です。
メーカーによっては1本からの買い替えは不可、鍵盤セットのみ購入可の場合もあります。
(鍵盤をのせていた台はそのままで、鍵盤だけ買い替えることもできる)
ただし鍵盤交換の場合は、その音だけ新しい木を投入することになるため元通りの音色にはならないので覚悟が必要です。
(最初に楽器を作る時点で、相性のいい鍵盤を揃えて組み立てているため)
まとめ
- 音程は高くすることも低くすることもできる
- 必ずメーカーや楽器屋さんに問い合わせる
- 調律しきれない場合は交換になる
シロフォン・マリンバもいい音程で演奏したいですね!
それでは、また!
参考
Webサイト
書籍
Bart Hopkin and Carl Dean | MAKING MARIMBAS and Other Bar Percussion Instruments
全編英語ですが、マリンバを手作りするためのノウハウがギッシリ詰め込まれた本です。