こんばんは!打楽器の吉岡です。
よくアウトリーチやイベントでマリンバについてお話していますが…
この際、気になっていたことを深くガンガン調べてしまおう!
と、マリンバとバラフォンについてまとめました。
写真や資料も沢山のせていくので、どうぞ気軽に見ていってください♪
バラフォンとマリンバの違い
日本ではバラフォンは「アフリカの民族楽器」マリンバというと「学校にある西洋化された木琴」として浸透しつつありますが、実際はどちらの名前もアフリカで使われています。
木の板にヒョウタンの共鳴器がついたものを指してざっくり 西アフリカでは「バラフォン」、南アフリカでは「マリンバ」 と呼ばれているそうです。
(また、地域によってさらに細かく呼び方が変わってきます。)
元々はどちらもアフリカの木琴を指す言葉だったのですね。
バラフォンとマリンバの意味は以下のとおり。
「バラフォン」=マリンケ語で“バラフォン”は“楽器”を意味する“バラ”と“音”を意味する“フォン”。「マリンバ」=アフリカのバンドゥー語に由来するもので、平らな板を意味する単語「リンバ(rimba)」に複数を示す接頭辞「マ(ma)」を合わせたものである。
https://heywao.com/2019/06/02/%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3%E3%81%AF%E3%80%80%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%B8%E5%BA%83%E3%81%8C%E3%82%8A%E3%80%80%E4%B8%83%E5%A4%89%E5%8C%96%E2%99%A1%E3%80%80/
諸説あるそうで、“バラ”はヒョウタンを意味している、 “バラフォン” は“輪になって”の意味がある、など調べていたら色々見つかりました。
バラフォンは儀式などで使われる重要な楽器だそうです。
なんと、セネガルの国歌にはバラフォンが登場するとか!
愛されていますね…!
バラフォンはセネガルの国歌にもなっている。出だしの歌詞は「コラを弾き鳴らせ、バラフォンを叩け(Pincez tous vos koras, frappez les balafons.)」
https://saisaibatake.ame-zaiku.com/gakki/gakki_jiten_balaphon3.html
(マツケンサンバIIの歌い出しに似てると思ったのは私だけじゃないはず。笑)
マリンバの歴史
浜松市楽器博物館(なんと、撮影可の博物館!)の資料とともにマリンバの歴史をたどっていきます。
一番最初は「地面に掘った穴に木の板を1本だけ置いたもの」だったと言われています。
記録はありませんが、きっと太古の昔から人類とマリンバの歴史は続いていたのでしょう…!
マリンバの起源はアフリカらしい
文化や地方によって大小いろいろ、作りも様々です。
また、楽器の呼び方も異なるそうです。
(バラ、と呼ばれてたりする)
一番古くて西暦12世紀にはバラフォンの記録が残されています。
ひとつの鍵盤に付き1個づつ、まん丸のヒョウタンが共鳴器として付けられています。
地面に座って叩くスタイルで、手で持ち上げて運べるサイズ感です。
アフリカの音階に調律されているので黒鍵・白鍵にあたる部分は無く、一列になっています。
上写真のバラフォン(マリンバ)、何だか薄いな?と横から見たら、共鳴器ついていませんでした。色々なタイプがある!
下写真はよく見かけるタイプのバラフォン。
ブルキナファソのバラフォンは特殊で、弓状の形をしていることがあります。
(近年では少なくなっているようですが)
低音部分にくびれたヒョウタンを使っている上、横に広げると叩きづらくなるのでカーブをつけているのだそう。
独特の造形が美しい…!
鍵盤を叩くと「ビリビリ」とノイジーな音が鳴るように作られています。
三味線や琵琶に似たようなビリビリ音です。
写真のヒョウタンの黒い部分は そのためのもの。
穴を空けて、クモの巣の卵嚢膜やコウモリの羽を張り付けているそうです。
ワイルド!
バラフォンの「ビリビリ」について詳しくは コチラ!音も聞けます!
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駐日ブルキナファソ大使館 のサイトではバラフォンにまつわる伝説も知ることが出来ます。
古くから愛されている楽器なのですね…!
マリンバ、海を渡って中南米へ
奴隷貿易でアフリカから中南米にわたったマリンバ(バラフォン)。
悲しい過去ではありますが、音楽と希望と忘れずに生き続けた先人たちを思うと畏敬の念に堪えません。
グアテマラをはじめとした中南米では主に「マリンバ」と呼ばれるようになります。
メキシコやホンジュラスでも伝統的に演奏されているようです。
最初の変化は共鳴器であった。中南米産の瓢箪は細長かったため、自然と共鳴器が長くなった。共鳴器の膜には、蜘蛛の代わりに豚の腸の膜が用いられた。
http://www.musashino-music.ac.jp/guide/facilities/museum/web_museum/%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3/
中南米のヒョウタンは細長い形だったため、アフリカの楽器とはまた違った様子になりました。
土地が変われば楽器も変化していきますね…!
下写真のヒョウタンの黒い部分が豚の腸の膜のようです。
独特な「ビリビリ」音がするそうです。
マリンバ・デ・テコマテスには脚・支柱といったものは無く、演奏する場所でつっかえ棒や机に置いて演奏します。
楽器横に長い木をつけて、首から下げて演奏することもあるそうです。
19世紀ころから脚や支柱がついて共鳴器が木で出来た「マリンバ・センシージャ」(単純なマリンバの意)が作られ始めました。
中南米に移り住んだスペイン人の影響もあり、鍵盤はピアノと同じ並びに変わっていきました。
大型の楽器は3~4人で連弾します。
グアテマラではお祭りやイベントで必ずと言っていいほど、連弾スタイルのマリンバアンサンブルが演奏されているそうです。
グアテマラにある世界最大といわれるマリンバは137つの音板を持つ11オクターブ超の楽器らしい。
7人がかりで演奏するらしい。でかすぎる。想像できない。
マリンバ、アメリカで現在の姿へ
共鳴器は瓢箪から木製のパイプへと発展し、20世紀に入ると、アメリカのDeaganによって金属パイプが取り入れられ、また、ピアノのような鍵盤の配置に改良が行われることにより、今日のオーケストラマリンバが誕生したのである。
http://www.musashino-music.ac.jp/guide/facilities/museum/web_museum/%E3%83%90%E3%83%A9%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3/
音域や音量の拡大、安定といった西洋化を経て、現在の姿に!
みなさまよくご存じの「マリンバ」になりました!
ちなみに、現在世界的に普及している5オクターブマリンバの低音部は日本で開発されました。
日本の職人さま研究者さま凄い…!
現在の鍵盤打楽器については日本木琴協会のサイトで解説されています。
ダビット・ベラ氏のマリンバの知識(pdf.ですぐ読めます)にはさらに掘り下げた歴史や分布、考察などが詳細に書かれています。
私もまだ全部読めていません。泣
番外編・カリンバの謎
並べられた細長い金属を親指で弾く「カリンバ」もアフリカの楽器です。
オルゴールの起源ともいわれています。
マリンバと似た名前の「カリンバ」、元は楽器メーカーの名前だったようです。
いろいろな呼び名があって混乱していたのですが、 地域によって 変わってくるのですね。
東アフリカでは、リンバ・イリンバ・マリンバ、中央南アフリカではムビラ・リケンベ・テングー、西アフリカではサンザなど地域によって呼び名が異なります。
https://www.african-sq.co.jp/detail/gakki/index_east.html
おわりに
扱いやすく、アンサンブルしやすく飛躍的な進化を遂げたマリンバではありますが、あくまでこれは西洋音楽的な考え方によるもの。
素朴な音色、地方色豊かな伝統楽器も大切にしていきたいと強く思いました。
グローバルとローカルと。
伝統楽器も西洋化された楽器も、多くの職人さんや演奏者の熱い情熱が込められていると思うと胸が熱くなりました…!
人類って素敵ですね。(壮大)
楽器への理解が深まると演奏も変わるかも!?
それでは、また!
参考文献
フィールドワーク報告書
国外フィールドワーク パナマ・グアテマラ・メキシコ(浜松市楽器博物館)[
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