こんばんは!打楽器の吉岡です。
今回はちょっと物理目線。
響きや振動について調べ物をしていて見つけた特殊鋼・ステンレス鋼販売の株式会社バルテック様のwebサイト「金属と音について」のお話。
金属のプロ目線かつ、なるべく分かりやすく書かれていて感動しました。涙
共振(共鳴)についてとても勉強になったので、本文を引用しつつ打楽器的目線で書いていきますね!
共振(共鳴)とは?
並べた音叉の一方を鳴らすと、もう一方の音叉が鳴ります。これは叩く力は小さいのですが、音叉の振動しやすい周波数に一致しているために、よく振動するのです。
https://www.valtech.to/photo/36112/music.htm
このように、物がある程度の周波数でよく振動する現象を共振(共鳴)と言い、この振動しやすい周波数を共振周波数と呼んでいます
たたいていたティンパニを止めてもたたいていないティンパニが響いていたり、マリンバの特定の音を鳴らすと楽器本体からではなく部屋の何かが一緒に鳴ってしまったり。
身近な共振(共鳴)ですね。
例えばヨーヨー遊びの場合、これも振幅運動ですが、タイミング良く手を動かせば、わずかな力でもヨーヨーはより大きく振幅運動を続けますし、タイミングがずれたら止まってしまいます。
https://www.valtech.to/photo/36112/music.htm
この、うまくいく時の手の振幅が共振周波数ということです。
このヨーヨーの例え、衝撃でした。
振動(振幅)というのは結局「波」で、周期なんですね。
自然に動いている「波」に合わせたタイミングで力を加えると、本来減っていくはずの運動エネルギーを補充できて、運動を続けさせることが出来ます。
力を加えるタイミングが「波」からズレていると運動を邪魔してしまい、自然に放置するよりも早く止まってしまいます。
たたき方によって変わる音色や響き
ピアノを調律する音叉のチ~ンという澄んだ音も、共振によるものです。
多少叩き方が違っても同じ高さの音が得られます。物を叩く力の波形は鋭く切り立った物になりがちですが、このような波形は様々な周波数の成分を含んでいます。
https://www.valtech.to/photo/36112/music.htm
この内、音叉の共振周波数の成分だけが音叉を振動させるのに役立つのです。
打楽器には色々な種類がありますが、たたく人によって極端にピッチが変わることはありません。
当たり前の話ですが鍵盤打楽器は誰が叩いても同じピッチで鳴ります。
もし、たたいた時の波形にその楽器の共振周波数が多かったら?
楽器が効率よく振動するのではないでしょうか。
だからこそ、たたく人・たたき方によって音色や響きは変わるのかもしれません。
(専門外の話題なので断言できませんが…学生のころ物理もっと勉強しておけばよかった…。泣)
弦が倍音でも振動するように、どんな物でもいくつかの共振周波数を持っていて、それぞれの共振周波数でよく振動します。だから、叩いたりはじいたりした場合にはいろいろな共振が同時に起こるのが普通です。
共振周波数とその共振の度合いは形状や材質で異なります。
弦のような単純な物以外では、共振周波数どうしは正確な倍数関係にないことが多いのです。
https://www.valtech.to/photo/36112/music.htm
こうして楽器はそれぞれに特有の音色がするようになるのです。
これって同じ弦は弦でも、弦を叩くピアノと弦をはじくチェンバロ、弦をこするヴァイオリンで音色が全く異なる、あるいはヴァイオリンで弦をこするのと、はじくのと、弓で弦を叩くのでは音色が全く異なる、って話に繋がっているのかな…(やはり確信は持てない)
とにかく音叉やサイン音(聴力検査のピー音)はほぼ倍音が無い音で、世の中の音は倍音だらけです。
どの倍音がどの程度、どんな倍数関係で鳴っているかで楽器の音色は決まってくるようです。
“共振周波数とその共振の度合いは形状や材質で異なります”
この一文で思い起こしたのが、マリンバなど鍵盤打楽器でマレットを持ち換えたときに音色が変わるやつ。
鍵盤の共振周波数に対してマレットの形状や材質が変わることで、結果的に共振する周波数が変わる=波形が変わる=音色が変わるということなのでしょう。
まとめ
振動(振幅)というのは結局「波」で、周期で、「音」なんですね。
(文字だけ見ると何言ってんだコイツ?ですが)
低すぎる音はもはや振動になります。
(やっぱり何言ってんだコイツ?と思った方はパイプオルガンの演奏、生で是非聴いてみてください。本当にお尻にビリビリ振動きます。)
たたく人・たたき方によって音色や響きが変わるメカニズムについて少し近づけたような気がします♪
と思われがちですが、科学的なアプローチも忘れずに持ち続けたいですね。
そうそう、古代ギリシャにおいて音楽は算術・幾何学・天文についで「数学的四学科」とされていました。(21世紀の音楽入門6ハルモニアの語りー世界の調和という神話・大角欣矢著)
このお話はまたの機会に。
古代の人々は気づいていたのに、現代の私たちは忘れてしまっていることが色々とあるのかもしれませんね。
それでは、また!