こんにちは!
部活動指導員として吹奏楽部に携わっています吉岡です。公立中学校でほぼ週5勤務です。
2018年からサポート的な立ち位置でパーカッション中心の指導、顧問教諭の異動をきっかけにコロナ禍真っ最中の2020年から全体指導を任される形となりました。
(あの年は本当に大変でした…)
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吹奏楽部というと合奏しているイメージかと思われますが、実際は各パート分かれての練習時間の方が多いです。
ひとりひとりが吹けていない・よく分っていない状態で合奏しても充実度が低く生徒自身も楽しめないので、積極的にひとりひとりの音を聴く機会を作るようにしています。
今回は生徒と過ごす時間が豊富な指導員だからこそできる、一対一で音を聴いて実感した効果について書いていきます!
勤務校の状態
勤務校は平日4日2時間(練習時間は実質1時間半)、週末1日3時間(実質2時間半)の活動、部員数は40人弱、3分の2が小学校の金管バンド経験者、3分の1が初心者といった感じです。
昨年度は夏のコンクール・体育祭・アンサンブルコンテスト(一部生徒のみ)・吹奏楽新人戦・60分の定期演奏会、と学内のイベントを入れても人前で演奏する回数が少なく、かなり緊張に弱い状態でした。
そのような中ではありますが「練習方法とその目的」を地道に指導し続けたことで、生徒が自ら考えて練習計画をたてられるようになってきており、パート練習時は学年関係なく意見を出し合い、励まし合う空気ができています。
新入生スケールテストを実施!
入部して1カ月の初心者ということで、今回はスケールテストを行いました。
スケール練習が曲を吹くための近道。
今回はテストに合格した1年生からコンクール曲の楽譜がもらえる、という方式にしました。
スケールテスト課題はテンポ四分音符=120、全音符でB-durとc-moll(旋律的短音階)の2つを一人で吹いてもらいます。
(取り組んでいる曲の関係でc-moll)
パーカッションは鍵盤打楽器で左右交互の手順でスケールをやってもらいました。
目的をはっきりさせて練習してもらうために、何を重点的にチェックするのか事前に伝えました。
重点は以下の4つの項目です。
1.失敗してもいいから最後まで演奏する
本番の演奏は始まったら終わりまで止まりません。
今回はアタックやリリース、ピッチなど細かいことよりも音の太さを優先してもらい。「失敗してもいいからあきらめず最後まで演奏する」ということで挑戦してもらいました。
2.拍を数えられるか
メトロノームを鳴らして吹いてもらいました。
4拍間ぴったり伸ばせなくても、拍を感じながら次の音を吹き始められればOKにしました。
3.運指を覚えているか
入部1カ月ですので、音程が多少変でも運指を覚えていればOKとしました。
4.スケールの音を理解しているか
違う音が出てしまっても、最初うまく鳴らなくても、修正しようとしている(出したい音が分かっている)ならOKとしました。
メモ
「専門の楽器じゃないから分からん…!」なんてことも多いかと思います。私も専門が打楽器で苦労しましたが、自分も勉強しつつ運指や楽器の特性についてはパートの先輩たちに相談するようにしています。(どうにも分からんことはネットで調べたり仕事仲間にきいたりする)
指導員から先輩たちに相談するようにしたら、「自分の楽器のことはなんでも答えられるようにしたい!」との心理が働くのか、不思議と先輩たちが詳しくなっていきます。笑
一対一で聴く効果
合奏するだけでは分からない、ひとりひとりの音を聴いて実感した効果を書いていきます。
個性が分かる
完全に分かるわけではないですが(笑)
生徒の受け答えや音の出し方で生徒が持っている性質が分かります。
声は小さいけれど丁寧に音を出す、とにかく吹きたくて不用意に音を出してしまう、譜面台倒しそうになったりおっちょこちょいな部分がある…
厳しくした方が頑張れるか、あまり言いすぎると凹んでしまうか、
どんどん挑戦するタイプか、失敗を気にしてしまうタイプか、
など各自の傾向も分かってくるので、ひとりひとりに合った声掛けや対応を考えることができます。
成長具合が分かる
継続することでひとりひとりの成長具合が分かります。
合奏中では細かく指摘できない姿勢や構え方についてもチェックできます。
構え方が良くなった、音が大きくなった、安定した、それだけでも大きな成長です。
出来る・出来ないを判断するのではなく、今できていることとこれからの課題をシンプルに伝えるようにしています。
こうすることで、生徒自身も課題が明確になり、目に見えない「音」を相手にした練習の日々にマイルストーンを作ることができます。
教え方のクセが分かる
そのパートの先輩の教え方のクセも分かります。
特に1年生の場合、どうだったか先輩にも伝えるようにしています。
こんな長所があるから伸ばしていこうね、後輩これが苦手みたいだけどどうフォローしていく?など先輩と相談して今後の練習計画に活用してもらいます。
緊張感を味わえる
場合によっては本番さながらの緊張感を味わうことができます。
演奏後「緊張した?」と尋ねて、少しでも緊張したのであれば本番力が上がったね!と伝えています。
勤務校は夏のコンクールまでに人前で演奏する本番がほぼ無いので、ちょっとした緊張感を味わ合う機会を増やしていきたいと思います。
パートがまとまる
偉いな~というか当たり前ではあるのですが、パートの先輩は後輩が無事演奏できるように教えます。
同時に、自分が出来てないと後輩に指摘しにくいので、先輩自身も丁寧に取り組むようになります。
パート部屋で1年生のスケールテストをした際、「よし合格~!」と言ったらパートの仲間たちに拍手が広がり、1年生が嬉しそうにしていたのが印象的でした。ひとりの喜びをみんなで共有できるって素敵ですよね。
実際のところ…
楽器ごとに出来栄えはバラバラです…(管楽器、似ているようで全然違う!)
とはいえ、合格基準を基本的なことに絞ったこともあり、ほぼ全員が達成できている状態です。
どの生徒も練習の成果が見える演奏でした。
テスト日時はこちらから指定せず、出来るようになった人から声をかけてもらい演奏してもらいました。
別室で一対一でやることもあれば、パートの先輩が付き添いで聴きにきたり、みんなが練習している中パート部屋でテストしたり、パート部屋でみんなが聴いている中テスト(!?)したり、やり方は本人とパートに決めてもらいました。
ホルンはソ(C)のピッチが激高!でしたが理解しているのでOK!
息がたくさん必要なフルートは伸ばしきれなくても音がひっくり返っても修正しようとしてたのでOK!
そもそも音を出すだけでも難しいクラリネットはなかなか苦戦したようでリードミスの連発でしたが、一瞬は狙った音が!出る!
息はしっかり入っているので、指の押さえ方や構え方を確認していこうね!ということでOKでした。
おわりに
「効果測定」って言葉いいな~思います。
「テスト」というと変な緊張しますが、効果測定あるいは身体測定のように、「できる・できない」ではなく「どのぐらいできたか」測るための機会もいいですよね。
「どのぐらいできたか」測るための機会を続けていくと、生徒自身が目的をもって練習に取り組みやすくなるのではないかと思います。
(コンクール出場メンバーを決めるためのオーディションになると話は別かもしれませんが…)
とにかく、部活動はいわゆる「クソゲー」にならないよう気を付けながら運営してます。
今回のスケールテストで得たデータをもとに、今後の声掛けを工夫していこうと思います!
それでは、また!