こんにちは!打楽器の吉岡です!
今回は2021年度吹奏楽コンクール課題曲II「龍潭譚(りゅうたんだん)」について演奏のポイントをまとめていきます。
具体的な奏法よりも楽譜の読み取り方に重点を置いて書いていきます!
もくじ
曲全体
音色にや間の使い方にこだわりたいところ。
でもいきなり「こだわる!」はできません。
この「龍潭譚」のみならず、似たような打楽器が使われている音楽を色々と聴いて、出したい音のイメージを膨らませてみるといいかもしれません。
打楽器も「息」を使って鳴らすイメージを持って演奏していきましょう!
管楽器と一体感を持ってアンサンブルできます。
この部分は打楽器らしさ全開、この部分は打楽器らしさ20%管楽器に溶け込んでる度80%、など音や場面によって使い分けができると、より表現の幅が広がります。
太鼓系のチューニングもチェック!
打楽器のチューニング、初心者でも誰でもいいから挑戦してくれ!~手順とコツ
「龍潭譚」ティンパニ
オーケストラでは「第2の指揮者」と言われるほど、存在感のある楽器です。
出番はあまり多くありませんが、とても重要な瞬間にティンパニが入っていたりします。
9小節目
ピアニッシモですが、存在感は消さないようにします。
弱音ながら、一緒に入る低音楽器とトロンボーンに輪郭を与えたり、印象的にする役割があると考えられます。
9小節目は、この「龍潭譚」で初めて低い音が入る瞬間です。
直前のメロディから受け取るようにして、低音+トロンボーンの和音に参加するイメージで大切に鳴らしていきましょう!
音符についているスラーみたいなやつは「音を響かせておく」記号です。
響かせておく記号、詳しくはコチラ
19小節目
20小節目の頭ぎりぎりまでロール+クレッシェンドします。
ぎりぎりまでロールする練習として、
・20小節目の1拍目でフォルテで1発たたくバージョンでやってみる
・慣れたら、20小節目の1拍目でフォルテで1発空振りする
のがオススメです。
合奏全体の音を聴きながらロールして、みんなを支えながらクレッシェンドしていきましょう!
ロール=「連打」ではなく、「音を伸ばす」であることも忘れずに!
楽器は違えどロールの基本は同じ!
24~62小節
トムトムと一緒に新しい場面を作っていきます。
強弱記号ピアノ・ピアニッシモですが、「弱く」ではなく「静かに」と捉えましょう。
重さや勢いはそのまま、音量だけを小さくします。
(リモコンでカチカチっとボリュームを下げるイメージ)
メロディが安心して演奏できるように、静かな音でもバッチリ支えていきましょう!
存在感のあるピアノとは?
「pesamte」は「重々しく」ですが、テンポ自体が重たくなって遅くならないように気を付けます。
音色だけ重々しく、または深く、ずっしり、暗いetc.イメージを持って演奏していきましょう!
62小節目「sec.」は「secco=短く切る」の略です。
76~80小節
低音楽器、バスドラムと同じ動きです。
バスドラムはティンパニよりも大きく重たいマレットで片手でたたいています。
バスドラム奏者と楽器を入れ替えっこして合わせてみると、お互いの感覚を共有できるので、音色をブレンドさせやすくなります。
84小節~ラスト
この曲の一番の山場である86小節目に向かって、84、85小節目にロールがあります。
86小節目からの音楽をイメージしながら盛り上げていきましょう!
85小節目で下降していく低音楽器の八分音符を感じながら演奏していれば、86小節目の頭も合わせやすくなります。
87小節目は19小節目と同じくギリギリまでクレッシェンドしたいところ。
88小節目の頭で思い切りたたきたいのを我慢しての、1拍目の裏、装飾音符付き山型アクセント!
87小節め4拍め裏から88小節め頭にかけての低音楽器の動きからバトンを受け取って、かっこよくキメましょう!
94小節目は9小節目と似ていますね。
「龍潭譚」Perc.1
1~小節
じゃん、けん、とたたくスピードを揃えれば、ビブラフォンと合わせやすくなります。
with soft mallets と表記がありますが、「グロッケンのソフトマレット」なので、毛糸のマレットを使わないように気を付けましょう。
学校で一番やわらかいグロッケンマレットを使えばいいのか?
ゴムのマレットがいいのか?
必ずしもそうでは無いと思います。
この部分は何よりも、ビブラフォンとのブレンドが重要になってきます。
ビブラフォンと音色が美しく溶け合うように、離れた位置で誰かに聞いてもらったりして、ベストなマレットを選んでいきましょう!
聴いてもらう時に気を付けたいこと
「l.v.」はレット ビブレイト(let vibrate)の略で、響きを止めずに、鳴らしっぱなしにします。
響かせておく記号、詳しくはコチラ
21~24小節め
21小節目、一緒に入るフルート・ピッコロは鋭い息遣いで吹いています。
同じように自分も息を使うつもりで弾いてみましょう!
21小節目「sec.」は「secco=短く切る」の略です。
指で鍵盤をおさえて音が残らないようにします。
24小節目のクレッシェンドは、25小節目の頭1拍目までたたくようなつもりで、新しい場面に繋げていきましょう!
鍵盤打楽器でアーティキュレーション!
49~53小節
シロフォンは引き締め役です。
マレットは柔らかすぎず、シロフォンらしい音を鳴らせるものにします。
トランペットとフルート、ピッコロと馴染むマレットを選んでみましょう!
一緒に動いている管楽器は全部タンギングで吹いています。
「トゥトゥトゥトゥトゥ!」とタンギングするつもりで、シロフォンを弾いてみると一体感が出ます。
(この機会に、管楽器の人にタンギングを伝授してもらいましょう!)
76~81小節
ビブラフォンと一緒に背景を作っていきます。
76小節めのsempreは「常に、ずっと」の意味です。
81小節目のsub.は「すぐに」の意味です。
直前の木管楽器の5連符に乗って、音楽の流れを変えていきましょう!
86~92小節
86~89小節は中間の硬さのマレット。
木管・トランペットの音色にきらめきを添えて。溶け込ませていきましょう!
92小節目のシロフォンはオーボエのソロが始まるタイミングです。
この一発でオーボエのソロの聞こえ方が変わる!?と言っても過言ではありません。
直前のフルートをよく聴いて、出したい音のイメージを持ってビブラフォンと音色を溶け合わせていきましょう。
ラスト
「とても柔らかいマレットで」と指定されていますが、「とにかく柔らかい音」というよりも、「遠くから聞えるような音」と考えた方が良さそうです。
広いホールでも客席まで音の動きや音程がしっかり伝わるようにします。
sec.が付いているので、最後はビブラフォンの音だけが残るようにします。
音が濁るのが気になるようであれば、2拍め裏のB音をダンぺリング(指で音を止める)してみてください。
3拍目のC音をたたくと同時にB音を止めます。
鍵盤打楽器でアーティキュレーション!
「龍潭譚」Perc.2
1~小節
じゃん、けん、とたたくスピードを揃えれば、グロッケンと合わせやすくなります。
この部分は何よりも、グロッケンとのブレンドが重要になってきます。
毛糸巻きよりも綿巻きマレットの方が、アタックも明確でグロッケンとブレンドしやすいと思います。
グロッケンと音色が美しく溶け合うように、離れた位置で誰かに聞いてもらったりして、ベストなマレットを選んでいきましょう!
聴いてもらう時に気を付けたいこと
「l.v.」はレット ビブレイト(let vibrate)の略で、響きを止めずに、鳴らしっぱなしにします。
響かせておく記号、詳しくはコチラ
24~62小節
ここからはティンパニや低音楽器とのコンビネーションが大切です。
ティンパニや低音楽器の人と歌ったりして、ノリや重みのかけ方、息遣いを合わせていきましょう!
音に重みをかけるためにはヒザをしなやかに使って重心を低くしたり、腕の重さを感じながらたたきます。
「pesamte」は「重々しく」ですが、テンポ自体が重たくなって遅くならないように気を付けます。
音色だけ重々しく、または深く、ずっしり、暗いetc.イメージを持って演奏していきましょう!
トムトムのバチ、何使う?
トムトムのアタック音がキツすぎる!スティックにひと細工して和らげる方法
sub.は「すぐに」の意味です。
一瞬前面に出て、すぐに引っ込む。
背景に戻るイメージでメリハリをつけていきましょう!
63小節目「sec.」は「secco=短く切る」の略です。
音が残らないように止めます。
テンポキープを磨く方法
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70~81小節
sempreは「常に、ずっと」の意味です。
ビブラフォンとバスドラムだけの2小節間で、どんな雰囲気を出したいか?
これから始まるピッコロとバスクラのメロディをイメージして、小さな音でも意思を持って演奏していきましょう!
81小節目のsub.は「すぐに」の意味です。
直前の木管楽器の5連符に乗って、音楽の流れを変えていきます。
86~92小節
この曲で1回しか出てこない合わせシンバル!
みんなのクレッシェンドを感じながらブレスをとって、たっぷり鳴らしていきましょう!
合わせシンバルをたっぷり鳴らすコツは色々ありますが、
・脇を閉めないこと
・腕だけではなく下半身(ヒザ)を使うこと
・打ち合わせる瞬間になるべくカップに触れないようにすることetc.
が主なヒントです。
全身を柔軟に使って、たっぷり鳴らしていきましょう!
合わせシンバル、おさえておきたい基本3つ
合わせシンバル(クラッシュシンバル)をイイ音で鳴らすための基本3つ
92小節目のビブラフォンはオーボエのソロが始まるタイミングです。
この一発でオーボエのソロの聞こえ方が変わる!?と言っても過言ではありません。
直前のフルートをよく聴いて、出したい音のイメージを持ってグロッケンと音色を溶け合わせていきましょう。
ラスト
「柔らかいマレットで」と指定されていますが、「とにかく柔らかくて弱い音」というよりも、「遠くから聞えるような音」と考えた方が良さそうです。
「Echo」「エコー」と書いてあるイメージそのままですね。
一番最後の音はC音だけが響いている状態にします。
ペダルを踏みかえる指示がありますが、ノイズが鳴ってしまう、踏み替えが上手くいかないときなどは、ペダルを踏みっぱなしで3拍め裏のB音をダンぺリング(マレットの先で鍵盤をおさえて音を止める)を試してみてください。
一番最後のC音をたたくと同時にB音を止めます。
「龍潭譚」Perc.3
11~12小節
フルートとクラリネットと一緒にクレッシェンドしていきましょう!
12小節目の頭ではっきり頂点を作ってからデクレッシェンドすると、音楽的な演奏になります。
スレイベルについて
16小節
トライアングルのバチでたたきます。
バチを当てる角度やバチの太さ、たたく位置などを工夫して「こだわり」の音色を見つけてみてください。
管楽器の和音に溶け込ませるイメージで鳴らすのもいいかもしれません。
ちなみに、この瞬間(2拍目)に鳴るのはこのサッシンのみです…!
サスペンデッドシンバルの音色について
サスペンデッドシンバル(サッシン)の音色の変え方【動画つき】
l.v.は響かせたままにする意味です、
響かせておく記号、詳しくはコチラ
20~25小節
ロール=「連打」ではなく、「音を伸ばす」であることを忘れずに!
息を使うように演奏していきましょう!
管楽器よりも少し遅れてクレッシェンドするのがカッコよく聴かせるコツ。
この場面では管楽器のクレッシェンドを強化する、ブーストする役割です。
周りの音をよく聴きながら、頂点に近づいたらクレッシェンドの幅をより大きく広げるイメージで盛り上げていきましょう!
サスペンデッドシンバルのロールについて
43~47小節
合奏全体に溶け込ませながらロールして、みんなを下から支えるように盛り上げていきましょう!
ドラのロールは思ったよりも遅れて大きくなっていきます。
47小節目の頭で頂点が来るように、計画的にクレッシェンドしていきましょう!
楽器は違えどロールの基本は同じ!
76小節め
トライアングルのビーターでドラをこすります。
この場面にはどんな音が合うか?
こする速さや距離、こする場所など、色々試して雰囲気に合う音を探してみましょう!
存在感のあるピアノとは?
「龍潭譚」Perc.4
3小節目
当てる速度や位置、角度を工夫して音色にこだわってみてください。
強弱は「ピアノ」ですが、印象的な音にしたいですね。
アルトサックスのメロディを一緒に演奏するように入ると合わせやすくなります。
この部分のみならず、自分のパートだけでなく、管楽器の動きを把握して一体感を持って演奏していきましょう!
l.v.は響かせたままにする意味です、
響かせておく記号、詳しくはコチラ
22小節目
直前のトゥッティのクレッシェンドをフィンガーシンバルに1発に込めたような、意志の強い音が必要です。
小さな楽器ですが、せき止められていた強い圧力が一瞬ではじけ飛ぶような、解放されるような渾身の一打を!
金属打楽器の重要ポイント!
29~46小節
ぼんやりした場面ではないので、ピアニッシモでも音の輪郭がはっきり出るようにバチや叩き方、打面に当たる瞬間のスピードを工夫します、
「pesamte」は「重々しく」ですが、テンポ自体が重たくなって遅くならないように気を付けます。
音色だけ重々しく、または深く、ずっしり、暗いetc.イメージを持って演奏していきましょう!
47~62小節
アクセントは「強く」ではなく、「濃く」「深く」と考えることができます。
一打一打で音楽を前へ進めていくつもりで演奏してみてください。
また、アクセントの付いた音には「スピード感」が求められることがあります。
コツをつかむには色々な方法がありますが、音のスピード感は打面を手で押して空気穴から出てくる風を速くする練習がおススメです。↓
音のスピード・深さって何?太鼓を押して感覚をつかもう!【初心者おすすめ】
sub.は「すぐに」の意味です。
一瞬前面に出て、すぐに引っ込む。
背景に戻るイメージでメリハリをつけていきましょう!
63小節目「sec.」は「secco=短く切る」の略です。
70~75小節
ロール=「連打」ではなく、「音を伸ばす」ことを忘れずに!
「ppp」ですが薄っぺらい音にならないように、裏の皮も振動させるイメージでロールしていきましょう!
弱音時、ワクのすぐ近くでロールする場合もありますが、はしっこすぎると音がか細くなってしまいます。
ワクに近づけすぎず、深い音が鳴るポイントでロールしていきましょう!
楽器は違えどロールの基本は同じ!
76~86小節
低音パートを歌いながらバスドラムで音程を出すつもりで演奏してみると、低音楽器とよくブレンドします。
練習時にチューバの左側で一緒に演奏して、息の使い方やブレスを真似してみるのもオススメです。
86小節目の頭には音がありませんが、ティンパニやドラ、シンバルに繋げるように盛り上げていきましょう!
終わりに
以上、2021年度課題曲II「龍潭譚(りゅうたんだん)」パーカッションの演奏のポイントでした!
スコアを読み込むことで、
「どう演奏したらいいか?」
「この音にはどんな役割があるのか?」
知ることができます。
スコアや楽譜の読み解き方はこちらの記事を参考にしてみてください。
打楽器の出番少ない!つまらない!いやスコアを読めばきっと面白くなる!
また、「打楽器の音が大きすぎる!小さくしろ!」「管楽器と混ざらない!」問題については以下の記事を参考にしてみてください。
打楽器うるさい問題、弱くたたくだけでは解決しない!?~管楽器とブレンドする方法
それでは、また!