打楽器×部活×ガムラン=!? 吉岡理菜の随想録

おもしろクラシック音楽・第1回「雅楽×オーケストラ」 おすすめ4曲

海辺の鳥居

こんにちは!
クラシック打楽器を演奏しつつ民族音楽学を勉強中の吉岡です♪

今回はちょっと変わったクラシック作品を!
日本版オーケストラ雅楽を取り扱ったオーケストラの作品を紹介していきます。

なんと、日本人のみならず外国の作曲家も雅楽を題材にオーケストラの作品を作っているんです!
しかも昭和初期に!!!

今回は「雅楽×オーケストラ」ということで、

  • 日本人から見た雅楽(ほぼ原曲をなぞる編曲)
  • 日本人から見た雅楽(西洋のテイストを混ぜ込む変奏曲)
  • 外国人から見た雅楽(雅楽というか日本というか)
  • 外国人が感じた雅楽(完全に消化吸収されてる)

方向性の異なる4つの作品をピックアップしました。

じっくり聴くと疲れちゃう、という方はBGMにもどうぞ

おもしろクラシック・第2回「ガムラン×西洋の楽器たち」おすすめ6曲

近衛 秀麿:越天楽(1931)

雅楽度 4.5

評価 :4.5/5。

結婚式で歌われたり(越天楽今様)、教科書にも載ったりしている雅楽の代表曲「越天楽(えてんらく)」をオーケストラで演奏したらどうなる!?という作品。

雅楽で使われる日本独自の楽器も西洋楽器に置き換えられ、忠実に演奏されています。

フルートで竜笛を、オーボエで篳篥を、
盛り上がってくるとトランペットや弦楽器も重なります。
弦楽器の高音を重ねてのハーモニーを、
ハープやピアノ、弦楽器のピチカートでを、
ファゴットなどが琵琶に、
といった感じで置き換えられています。

打楽器も使っているのは西洋楽器ですが、奏法やバチを工夫しているようで雅楽の楽器のように聞こえてきます。

曲の評価・作曲者

近衛秀麿(このえ・ひでまろ、1898年11月18日 – 1973年6月2日)

日本のオーケストラにとってパイオニア的存在であり、「おやかた」という愛称で親しまれていた。評価がされない時期もあったが、2006年には初めて近衞に関するまとまった本が出版されるなど、再評価の動きも徐々に出てきている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%BF%91%E8%A1%9B%E7%A7%80%E9%BA%BF

・「赤とんぼ」で有名な山田耕作から作曲を学んでいた。

・日本交響楽協会を設立。日本の「常設オーケストラの設立」を果たした
そこから分裂した秀麿支持派44名は「新交響楽団」と名乗り、のちのNHK交響楽団となる。

・ヨーロッパやアメリカの名だたるオーケストラで客演指揮を務める。帰国後は40代半ばにしてすでに日本の指揮者界の長老格となっていた。

・現在オリンピックの表彰式の国歌など公共の場で使用される君が代は、秀麿の編曲によるものである。

吉岡さん(中2)

日本のオーケストラの土台を作った人物のひとり。以前、東京シティフィルハーモニック管弦楽団の演奏会でこの曲に出会い、衝撃を受けました…!

松平 頼則:ピアノとオーケストラのための主題と変奏(1951)

雅楽度 4

評価 :4/5。

「盤渉調 越天楽による主題と変奏」
「盤渉調 越天楽の主題によるピアノと管弦楽のための主題と変奏」
とも呼ばれているらしい。

先ほどと同じ「越天楽」がテーマに使われています。
しかし、この作品は「盤渉調」というのがミソ。

先ほどの近衛秀麿の編曲は平調(ひょうじょう)、松平頼則は盤渉調(ばんしきちょう)という異なる調子が使われています。
西洋音楽の「ハ長調」とか「C dur」といった調性に相当するものです。

「いや同じ曲に聞こえないけど!?」
聞こえないんですよこれが。笑

西洋音楽でいう移調とは異なり、その調子に含まれる音階に沿って演奏されるため、メロディラインが若干変化しています。
インドネシアの伝統音楽、ガムランでも同じ現象が起きます。
(長くなるので、この説明はまた次の機会に!笑)

同じ曲でも大きく雰囲気が変わるのはこのためです。

  • G:呂旋:双調(そうじょう)
  • D:呂旋:壱越調(いちこつちょう)
  • Am:律旋:黄鐘調(おうしきちょう)、高麗雙調(こまそうじょう)
  • E:呂旋:太食調(たいしきちょう)
  • E::m:律旋:平調(ひょうじょう)、高麗壱越調(こまいちこつちょう)
  • Bm:律旋:盤渉調(ばんしきちょう)
  • F#m:律旋:高麗平調(こまひょうじょう)

ある程度、西洋音楽に当てはまるという不思議!!
ミクソリディアやドリアなど、西洋音楽の教会旋法に似た調がいくつもあります。

冒頭で演奏されるテーマ(主題)が変奏されていきます。
テーマが特徴的でよく聞き取りやすい変奏曲なのでご安心を…!

曲の流れは以下のようになっています。

  • 0:00~テーマ(主題):このメロディ覚えておきましょう!
  • 3:11~第1変奏: Andante:透き通ったピアノから始まるロマンチックな越天楽。
  • 5:48~第2変奏: Allegro:テンポが速まって動きが出てくる。明確なメロディラインと伴奏、縦横無尽に駆け巡るピアノという西洋的な構造。複数の調が同時進行している。ちゃっかり和の世界に溶け込むタンバリン。
  • 7:23~第3変奏: Allegro:十二音技法を用いた現代的な変奏。ジョリベっぽい。ワイルドな越天楽。
  • 8:41~第4変奏: Lento – Agitato – Lento 無言歌という副題を持っているらしい。ただようようなピアノにも主題が聴きとれます。静かな越天楽。
  • 11:56~第5変奏: Allegro:当時流行していたジャズやブギウギのリズムを取り入れている。シャレオツな越天楽。
  • 13:56~第6変奏: Allegro (Toccata meccanica) – Lento:トッカータという技巧的かつ華麗な変奏。絶え間なく続く音は波のようにエネルギーを増幅させ、音楽は最高潮に達する。
  • 15:21~テーマの再来。それまでの喧騒が嘘だったかのように、厳かにテーマが演奏され、余韻を残しつつ曲を閉じる。

テーマの再来は感動的で、強烈なカタルシスを感じます!
なんたる奥ゆかしさ!優美さ!(興奮)

曲の評価・作曲者

松平 頼則(まつだいら よりつね、1907年5月5日 – 2001年10月25日)は、日本の作曲家、ピアニスト。~南部地方の民謡を素材とした新古典主義的な作風から出発し、雅楽との出会いを経て、雅楽と西欧の前衛音楽を結びつけた独自の境地に至る。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%BE%E5%B9%B3%E9%A0%BC%E5%89%87

・「ピアノとオーケストラのための主題と変奏」は昭和26年に作曲され、カラヤンがウィーンと東京で指揮し、世界的に評価されている。

吉岡さん(中2)

大好きな曲!
雅楽の特徴を色濃く残しつつオーケストラとピアノという西洋の演奏形態、十二音技法やジャズ的要素といった技法を見事に融合、昇華されている…!

ヘンリー・カウエル:Ongaku(1957)

雅楽度 3

評価 :3/5。

アメリカの作曲家、ヘンリー・カウエルの作品。

雅楽というタイトルではありますが、メロディの感じとしては雅楽と民謡が混ざっている…?といった印象です。
とはいえ、日本的な間合いや繊細さ、美しさへのリスペクトが詰め込まれています…!
音楽の流れをつかみやすく親しみやすいので、外国人によるこの作品の方が現代人には聴きやすいかもしれません。

1. Gagaku雅楽(0:00~) 2. Sankyoku三曲(5:49~)2つの楽章からなっています。

曲の評価・作曲者

ヘンリー・ディクソン・カウエルHenry Dixon Cowell、1897年3月11日 – 1965年12月10日)は、アメリカ合衆国の作曲家。アイルランド系アメリカ人。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%82%A8%E3%83%AB

・作曲のほか音楽民族学を専攻、非西洋の音楽を多く研究していた。

・1957年に来日した際に雅楽を聴き、書いた作品。
笙を「持続するトーンクラスター」と言って特に気にいっていたらしい。

・この曲以外にも、日本にちなんだ作品を数曲書いている。

オリヴィエ・メシアン:7つの俳諧より4.Gagaku (1962)

雅楽度 0.5

評価 :0.5/5。

これまで紹介した3曲と比べると
「なんじゃこりゃ?」
という印象を持たれると思います。

雅楽というか、もうこれメシアンなんですよね。
日本の印象が消化吸収され、メシアンのものになっている。

とはいえ、篳篥や笙をイメージさせる音色感、間合いがありますね…!
ちょっぴり玄人向けですが、3分程度の短い曲です。

「7つの俳諧」全タイトルは以下の通り。
日本滞在中に立ち寄った場所や、雅楽をはじめとした日本の伝統に触れた印象を、音楽としてまとめたそうです。

  1. 導入部 (Introduction)
  2. 奈良公園と石灯籠 (Le parc de Nara et les lanternes de pierre)
  3. 山中湖-カデンツァ (Yamanaka-cadenza)
  4. 雅楽 (Gagaku)
  5. 宮島と海中の鳥居 (Miyajima et le torii dans la mer)
  6. 軽井沢の鳥たち (Les oiseaux de Karuizawa)
  7. コーダ (Coda)

曲の評価・作曲者

オリヴィエ=ウジェーヌ=プロスペール=シャルル・メシアン(Olivier-Eugène-Prosper-Charles Messiaen, 1908年12月10日 – 1992年4月27日)は、フランス、アヴィニョン生まれの現代音楽の作曲家、オルガン奏者、ピアニスト、音楽教育者である。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%82%A8%E3%83%BB%E3%83%A1%E3%82%B7%E3%82%A2%E3%83%B3

・メシアンは幼少時から音と色の共感覚を持っており、その独特の感性が作風に大きく影響している。

・2番目に紹介した松平 頼則から影響を受けている。

・鳥類学者として知られ、世界中の鳥の声を採譜した貴重な偉業を成し遂げた。

おわりに

雅楽×オーケストラの世界、いかがでしたか?

厳かながら優美さも兼ね備えた、不思議な世界ですよね。

「雅楽をいきなり聴くのはハードル高い!」という方も、今回のオーケストラ作品がちょうど良い入口になるかもしれません。

雅楽は自分の国の音楽なのになかなか馴染めませんでした。
しかしオーケストラで演奏された雅楽に出会い、逆輸入のような形で興味を持つこととなりました。

雅楽は一度生演奏で聴きに行きたいのですが、まだ叶わずにいます…。


次回はガムラン×オーケストラというこれまた変わった雰囲気の曲を紹介していく予定です。

それでは、また!

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