こんにちは!打楽器の吉岡です!
今回は2021年度吹奏楽コンクール課題曲IV「エール・マーチ」についてパーカッションのポイントをまとめていきます。
具体的な奏法よりも楽譜の読み取り方に重点を置いて書いていきます!
もくじ
曲全体
四分音符=108で少し落ち着いたテンポの行進曲です。
一歩一歩、一拍一拍に活力がみなぎる、堂々としたテンポ感とサウンドで演奏したいですね。
似たように落ち着いたテンポの行進曲として、エルガーの「威風堂々」を聴いてみるのもオススメです。
また「エール・マーチ」は4分の2拍子で書かれています。
え?4拍子でも変わらなくない?と思った方はこちら↓の記事をどうぞ!
2拍子と4拍子は別物!!!
打楽器と管楽器が分離した演奏にならないように、打楽器も「息」を使って鳴らすイメージを持って演奏していきましょう!
この部分は打楽器らしさ20%、管楽器に溶け込んでる度80%、など音や場面によって使い分けができるとより表現の幅が広がると思います。
Perc.1 スネアドラム
スネアはテンポキープの役割を持ちながら、様々な役割を任されています。
時には低音楽器と一緒、時にはフルート・クラリネットと一緒に動いていたり。
ストロークの種類やスピードを使い分けて、スタッカートやテヌートなどのアーティキュレーションを繊細に表現していきましょう!
アクセントは「強く」だけではなく、「濃く」「深く」とも考えることができます。
自分が普段の会話で話すときに軽くアクセントをつけるようなイメージを持って演奏していきましょう!
ロールしやすいスティックがある!?
イントロ
管楽器と似た動きをしています。
スネアだけども音程を出すようなイメージでたたいてみると、一体感が生まれ軽快なリズムになってくると思います。
A
メロディに沿った動きをしています。
メロディパートを歌うと共に、低音とホルンの四分音符を感じながら演奏していきましょう!
メロディよりスネアのリズムが少し細かく書かれているのは、ただ静かな音楽にならないよう音楽に推進力や活力を与えるためだと考えられます。
この部分はコンパクトなサウンドで、穏やかながら元気がみなぎっているようなワクワクしたリズムを奏でたいですね。
十六分音符は次の拍へ運んでいくように演奏していきましょう!
C~F
木管高音と同じ動きをしています。
また、管楽器にはスタッカートが付いています。
フォルテと言えども、軽やかな音で演奏していきましょう!
同じ強弱記号でも場面によって演奏の仕方が変わってきます。
B最後のトゥッティの中で演奏するフォルテと、Cからの木管高音と一緒に演奏するフォルテは違ったものになるはずです。変えましょう!
G
フォルティッシモで思い切りロールしたいところですが、管楽器のハーモニーに参加するイメージも忘れずに演奏していきましょう!
スネアのロールが繋がらない!上手くいかないとき確認すること3つ
管楽器に沿った動きをしている三連符や付点音符は、
どんなタンギングか?(タタタ、トゥトゥトゥなど)
どんな息の使い方をしているか?(どんな音型か?)
スネアも意識して、一体感のある演奏を目指しましょう!
H トリオ
強弱記号ピアノは、「弱く」ではなく「静かに」「遠くから」などイメージを持って表現していきましょう。
A同様、小さな音量でも元気に、リズミカルに演奏します。
メロディが安心して演奏できるように、静かな音でもバッチリ支えていきましょう!
存在感のあるピアノとは?
メロディがアウフタクトから始まっています。
122小節、126小節2拍めのロールは、スネアもアウフタクトで演奏していきましょう!
I
Risolutoは「決然と」です。
トランペットとトロンボーンと息を合わせていきましょう!
ロールのクレッシェンドは単純に「強くしていく!」だけではなく、「広げていく」「深くしていく」「ふくらませていく」などのイメージも持つことも出来ます。
他の楽器のクレッシェンドを聴きながら、ベストな方法を見つけてみてください。
J~K
119小節めからと同じリズムですが、JからはMaestoso「荘厳に、堂々と」した音楽です。音量だけではない変化を付けていきましょう!
183小節からの装飾音符がついた四分音符は、金管楽器の重厚なハーモニーに参加するつもりでロールしていきましょう!
L
Lから金管+サックスと同じ動きですが、管楽器は一音一音丁寧にタンギングしています。
スネアは左右の手を使ってたたいていますね?
左右でたたくスネアの方がラクに叩けてしまうので、何も考えずにやっていると合いません。
ロール無しで一度片手でリズムをたたいてみると、感覚が変わると思います。
アクセントがついているとついつい打撃的な音になりがちですが、スネアでメロディを歌うような感覚で、最後の音まで演奏していきましょう!
Perc.2 バスドラム
低音パートと意気投合しましょう!
それからシンバルとバスドラムは切っても切れない「ニコイチ」です。
シンバルの華やかさをバスドラムの低音で支えていきましょう!
基本的に音量はシンバル<バスドラムだとブレンドしやすいです。
アクセントは「強く」ではなく、「濃く」「深く」とイメージしたほうが良さそうです。
打面だけではなく裏側の皮も振動することを意識して、低く頼もしい音で演奏していきましょう!
四分音符は四分音符だけど…?
イントロ
合わせシンバルとの一体感が大切です。
低音パートを歌いながら、スネアと同じくバスドラムで音程を出すつもりで演奏してみると、低音楽器とよくブレンドします。
練習時にチューバの左側で一緒に演奏して、息の使い方やブレスを真似してみるのもオススメです。
5小節めから中低音と一緒に動いています。
1拍めの休符で軽くエネルギーを溜めて2拍めの四分音符を打ち、6小節めも同じ、そして7小節目1拍めにワクワクの頂点が感じられるようにしていきましょう!
7小節めの1拍めに向かって高音木管は6連符で駆け上がり、ハーモニーもBdurにスッキリ解決します。一気に解放されるような瞬間ですね。
太鼓もその「ハーモニーの解決」を感じながら演奏してみましょう!
この記号にもこだわっていこう!
B
イントロと同じく、低音パートを歌えることが大切です。
誰かについていくのではなく、一打一打で音楽を前へ進めていくつもりで演奏してみてください。
楽譜をよく見てみると、区切りの部分で八分音符になっていることが多いです。
作曲者はしっかり書き分けています。
たたき分けていきましょう!
打楽器の八分音符+八分休符と四分音符は同じなのか?
バスドラムはスネアドラムと共にテンポキープの要(かなめ)になります。
メトロノームを裏打ちor2拍めでも鳴らして練習して、テンポキープ力を磨いていきましょう!
【管楽器も初心者も】メトロノームをアフタービートで鳴らして安定したテンポ感へ!
C~E
バスドラムもメロディの一員になって、ひとつひとつの音に音程があるイメージでたたいていきましょう!
シンバルとの一体感を感じながら、メロディに参加していきましょう!
Fの1小節前はフォルティッシモで思い切りたたきたくなりますが、歯切れよく、まとまった音で演奏していきましょう!
アクセントの付いた音には「キレの良さ」「スピード感」が求められることがあります。
コツをつかむには色々な方法がありますが、音のスピード感は打面を手で押して空気穴から出てくる風を速くする練習がおススメです。↓
音のスピード・深さって何?太鼓を押して感覚をつかもう!【初心者おすすめ】
F~G
Gの4小節前でシンバルが入ってきます。
シンバルが安心して入れるように「よし、乗っかれ!」みたいにクレッシェンドできたら素敵ですね。
グロッケンも入ってきて、低音楽器は「ド、レ、ミ、ファ」と同じく四分音符で登っていき、Gの2小節前でハーモニーが解決しています。
G2小節前1拍目は解決感、スッキリ感を感じながら鳴らしてみましょう!
G頭はスネアや管楽器のクレシェンドを受け取って入りましょう!
低音楽器は2小節間伸ばしています。
バスドラムも一緒に音を伸ばすつもりで、バンド全体を支える音を出していきましょう!
I
Risolutoは「決然と」です。
低音楽器のパートを歌いながら演奏していきましょう!
L
バスドラムにとっては同じ二分音符4回でも、管楽器の和音が4回とも違います。
一音一音の和音の変化を感じながら鳴らしてみてください。
アクセントは単純に「強く」たたくだけではなく、低音楽器と一緒に歌う感覚で、最後の音まで演奏していきましょう!
Perc.3 シンバル
シンバルとバスドラムは切っても切れない「ニコイチ」です。
基本的に音量はシンバル<バスドラムだとブレンドしやすいです。
バスドラムの低音に乗っかって、華やかに鳴らしていきましょう!
シンバルは音楽を華やかに盛り上げる役割をもっています。
他の言葉を使えば、シンバルが入るとゴージャスな、リッチな雰囲気になるんですね。
盛り上がる場面や特別な瞬間にしか入っていないので、シンバルの出番は少なめになっています。
合わせシンバル、いい音を出すには?
合わせシンバル(クラッシュシンバル)をイイ音で鳴らすための基本3つ
四分音符は四分音符だけど…?
イントロ
バスドラムと一体感を持ちながら、シンバルで音程を出すつもりで管楽器の明るいハーモニーに参加していきましょう!
シンバルとしての存在感を保ちつつ、管楽器と馴染む明るい音色がいいですね。
5小節めから中低音と一緒に動いています。
1拍めの休符で軽くエネルギーを溜めて2拍めの四分音符を打ち、6小節めも同じ、そして7小節目1拍めにワクワクの頂点が感じられるようにしていきましょう!
7小節めの1拍めに向かって高音木管は6連符で駆け上がり、ハーモニーもBdurにスッキリ解決します。一気に解放されるような瞬間ですね。
アクセントは「強く」ではなく、「濃く」「深く」と様々なイメージを使い分けていきいましょう!
C~E
シンバルもメロディの一員になって、ひとつひとつの音に音程があるイメージでたたいていきましょう!
バスドラムとの一体感を感じながら、メロディに参加していきましょう!
Fの1小節前はフォルティッシモで思い切りたたきたくなりますが、バンド全体の音になじむ歯切れよく、まとまった音で演奏していきましょう。
本当に思いっきり鳴らすのは74小節め2拍目の裏、sffの付いた音です!
sff(sforzatissimo)…スフォルツァティッシモ。その音を特に強く。イタリア語で「無理強いをする」sforzareから派生した音楽用語。
スフォルツァンドの軍団の中で一番強いヤツ。
アクセントの付いた音には「キレの良さ」「スピード感」が求められることがあります。
コツをつかむには色々な方法がありますが、音のスピード感は打面を手で押して空気穴から出てくる風を速くする練習がおススメです。↓
音のスピード・深さって何?太鼓を押して感覚をつかもう!【初心者おすすめ】
F
Gの4小節前はバスドラムの四分音符に乗っかっていきましょう!
グロッケンも入ってきて、低音楽器は「ド、レ、ミ、ファ」と同じく四分音符で登っていき、Gの2小節前でハーモニーが解決しています。
シンバルでも音程を出すつもりで、一緒に盛り上げていきましょう!
この記号にもこだわっていこう!
G
G頭はスネアや管楽器のクレシェンドを受け取って入りましょう!
バンド全体を輝かせる音を出していきたいですね。
この部分はトランペット・サックスのファンファーレに乗っかっていきましょう!
93小節め97小節め1拍めは、ファンファーレが三連符から解放されて音も登り切った瞬間です。
シンバルもそのファンファーレの動きに沿って、鳴らしていきましょう!
同じフォルテシモ・アクセントでも、場所によって演奏の仕方は必ず変わってきます
同じ強弱記号でも場面によって表現を変えていきましょう!
I
Risolutoは「決然と」です。
低音楽器のパートを歌いながら、バスドラムと一体感を持って演奏していきましょう!
サスペンデッドシンバルのクレッシェンドは音楽を盛り上げると共に、次の場面へ繋げる役割を持っています。
クレッシェンドした先(目的地)がどんな音楽になっているか?
どんなハーモニーが鳴っているか?
意識して演奏していきましょう!
L
シンバルにとっては同じ二分音符4回でも、管楽器の和音が4回とも違います。
一音一音の和音の変化を感じながら鳴らしてみてください。
アクセントは単純に「強く」たたくだけではなく、低音楽器と一緒に歌う感覚で、最後の音まで演奏していきましょう!
あたたかい音を出したい!
サスペンデッドシンバル(サッシン)の音色の変え方【動画つき】
Perc.4 グロッケン&トライアングル
フルートやクラリネットと同じ動きをしていることが多いです。
まず、スコアからアーティキュレーションを書き写しましょう!
打つスピードや弾き方を使い分けて、スタッカートやテヌート、スラーなどのアーティキュレーションを繊細に表現していきましょう。
打楽器は叩けば音が出ますが、1音1音を歌うことが音楽的な演奏に繋がっていきます。
鍵盤打楽器も1音1音を歌うつもりで弾いていきましょう!
鍵盤打楽器で歌う…?
イントロ
全曲を通してトリルが何度か出てきます。
管楽器がどんな速さでトリルしているか聞いてみて、速さを揃えていきましょう!
スコアを見てみると、メロディパートの一部分を抜き出してグロッケンが演奏しています。
木管高音やトランペットのメロディを歌いながら、自分のパートを弾いていくと、一体感を持って演奏することができます。
鍵盤楽器にはこんな部分が何度も出てきます。
自分のパートだけでなく、管楽器の動きを把握して一体感を持って演奏していきましょう!
2本マレットの持ち方2種類を試してみよう!
D
この場面はメゾピアノ・スタッカート、木管中心でコンパクトにまとめられています。
ただリズムをたたくだけではなく、管楽器と一緒にトライアングルも歌っていきましょう!
一打一打、一音一音に音程があるイメージですね。
F~G
86小節からのグロッケンはフルートと一緒です。
管楽器は十六分音符をスラーで吹いています。
打楽器は一打一打たたくこのになりますが、管楽器のように十六分音符を「区切らず一息で」吹くイメージを持って演奏しましょう。
管楽器と一体感が生まれて、表現の幅が広がります!
グロッケンでスラー!?スタッカートって!?
H
強弱記号はピアノですが、単純に「弱く」ではなく「静かに」「穏やかに」などイメージを持って表現していきましょう!
存在感のあるピアノとは?
メロディはアウフタクトから始まっています。
122小節2拍め四分音符はトライアングルもアウフタクトで演奏していきましょう!
K~ラスト
木管高音と一緒に動いています。
そのままパート譜に書いてあることだけを演奏すると、無機質な演奏になってしまいます。
管楽器のアーチィキュレーションを参考に、グロッケンも歌っていきましょう!
スラーがかかっている部分は息を流していて、スラー以外は一音一音タンギングしています。
グロッケンで変化を付けるためにはどうするか!?
マレットの選択も含め、ぜひ色々試してみてください。
一緒に鍵盤でメロディを歌うような感覚で、最後の音まで演奏していきましょう!
終わりに
以上、2021年度課題曲4「エール・マーチ」の打楽器演奏のポイントでした!
スコアを読み込むことで、
「どう演奏したらいいか?」
「この音にはどんな役割があるのか?」
知ることができます。
スコアや楽譜の読み解き方はこちらの記事を参考にしてみてください。
打楽器の出番少ない!つまらない!いやスコアを読めばきっと面白くなる!
また、「打楽器の音が大きすぎる!小さくしろ!」「管楽器と混ざらない!」問題については以下の記事を参考にしてみてください。
打楽器うるさい問題、弱くたたくだけでは解決しない!?~管楽器とブレンドする方法
それでは、また!