こんにちは!
音楽のミステリーハンター(自称)の吉岡です。
今回は第3回目ということで「工場×オーケストラ」おすすめ3曲を紹介していきます。
クラシック音楽というと18~19世紀の曲が多く知られていますが、「工場」ともあって、今回紹介する作品は全て20世紀に作られた作品です。
工場を描いた音楽とはいったいどんな音楽なのか!?
ぜひ聴いてみてください♪
プロコフィエフ/バレエ「鋼鉄の歩み」
工場度 言われてみれば工場っぽい
機械化文明真っ只中の20世紀初頭、セルゲイ・プロコフィエフが作曲したバレエ音楽です。
バレエというと、おとぎ話やメルヘンなイメージが多いかと思いますが、この作品は当時のソビエト連邦で進行しつつあった工業の発展がテーマです。
なんと、ハンマーや斧を振るう労働者が登場するバレエです。
1927年フランス・パリにて初演、文句なしの大成功だったそうですが、作曲家ストラヴィンスキーはハンマーを振るうダンサーを見て嫌悪感をもったそうです。
あまりに現実的な、ストレートな表現で受け付けなかったんでしょうね…。
(というストラヴィンスキーも、わりとぶっ飛んだ作品を書いた人。自身が作曲したバレエ「春の祭典」の初演時は、怪我人も出るほどの大騒動が起きました。)
…とはいえ、現代の我々からすればバレエやクラシックのイメージに収まる、品の良い印象。
注意深く聴いてみると、ところどころに歯車が回り続けるような音型や、流れ作業のように規則的なリズムが取り入れられています。
アンタイル/バレエ・メカニック
工場度 ねぇ作ってるの?壊してるの?
アメリカ合衆国の作曲家、ジョージ・アンタイルによる1926年の作品です。
(先ほどの「鋼鉄の歩み」とほぼ同時期)
編成としては打楽器アンサンブルですね。
バレエというタイトルがついていますが、踊るために作られた曲ではないです。
初演では騒動と評論家の非難を巻き起こした、センセーショナルな作品でした!
(一部からは評価されたいたようです。)
この曲、何といっても楽器編成がぶっ飛んでいて、エネルギーが凄まじいんですよね…。
使用楽器
- ピアノ8台
- シロフォン(木琴)4台
- 自動ピアノ
- 飛行機のプロペラ2つ
- ドラ
- シンバル
- スネアドラム
- バスドラム(複数台)
- 電気ベル
- サイレンetc.
この楽器編成だからこそ出せる、圧倒的異質さ…!
あまりのエネルギー量に不気味ささえ覚えます。大好き。
(14:54ごろからのクライマックス、謎の感動を覚えます…!)
↑使用楽器がよく分かる動画。
使用楽器のせいであまり演奏されなかったようで、後から縮小版を作ったそうです。
(実際のところ、たいして楽器は減っておらずほぼ縮小されていないそうです。笑)
ちなみにアンサンブル・モデルンによる演奏が激アツで名演です!↓
(現在入手しづらいみたいですね…)
参考:http://kisonoabaraya.qcweb.jp/antheil.html
モソロフ/バレエ「鉄工場」
工場度 信じられないほど工場!!
ソ連の作曲家アレクサンドル・モソロフが1926年に作曲した管弦楽曲。
(もう本当に3曲とも同時期!)
ロシア・アヴァンギャルドを代表する音楽作品とされています。
演奏時間は約3分、非常に中毒性が高い曲です…!
本当に神がかってるとしか言いようがありません…!
凄まじい熱気、蒸気、
無機質に反復されるモチーフ、
容赦なく押しつぶす低音群、木管楽器やヴァイオリンの歪み擦れる高音群…
などなど、容赦のない機械の動きが目の前に見えるような作品です。
現在のコンピューター制御のスマートな工場ではなく、まさに20世紀初頭の粗削りでダイナミックな工場のイメージですね。
環境への配慮一切なし、煙もくもく、凄まじい騒音、のような。
ホルンの咆哮も、トロンボーンのノイジーなグリッサンド、金属的なサウンドも堪らないですね。
規則正しい中に底知れぬ狂気を感じる、名作だと思います。
おわりに
- バレエ「鋼鉄の歩み」
- バレエ・メカニック
- バレエ「鉄工場」
以上「工場を音楽で表現!?」 スチームパンク好きには堪らない3曲の紹介でした!
それでは、また!
こちらもCHECK
-
変化球クラシック・第1回「雅楽×オーケストラ」 おすすめ4曲
こんにちは!クラシック打楽器を演奏しつつ民族音楽学を勉強中の吉岡です♪今回はちょっと変わったクラシック作品を!日本版オーケストラ雅楽を取り扱ったオーケストラの作品を紹介していきます。なんと、日本人のみ ...
続きを見る
こちらもCHECK
-
変化球クラシック・第2回「ガムラン×オーケストラ楽器」おすすめ6曲
みなさまこんにちは!ガムラン演奏したり踊ったりしています吉岡です。 ガムランはインドネシアの伝統音楽で、名前だけではピンと来ない方も音を聴くと「なんだか南国っぽい!」と感じると思います。 今回は「おも ...
続きを見る