飛び跳ねる2匹の猫

演奏家

音楽家が知っておきたい内側と外側2つの承認欲求。

2020年3月12日

こんにちは!吉岡です。

「承認欲求」と聞くと他者からの尊敬や注目、優越感への欲求…
とイメージしがちですが、必ずしもそういった「他者との優劣」に関する欲求ではありません。

心理学における承認欲求は低次と高次2つのレベルに分けられるそうです。

・他人からの評価(低次・外側)
・自分自身の評価(高次・内側)

他者からの承認と、自身からの承認の2つに分けられます。
外側からと内側からの承認。

人前で演奏したり、
コンクールを受けたり、
レッスンをしたり、
作品を発表したり。

音楽家が知っておきたい2種類の承認欲求について書いていきます。

マズローの自己実現理論

承認欲求はマズローの自己実現理論 によると下から四番目にあたる欲求です。
その承認欲求が含まれているマズローの「自己実現理論」とは、

アメリカの心理学者アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものである。

Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%AE%9F%E7%8F%BE%E7%90%86%E8%AB%96

ほかにも「自己実現論」「(マズローの)欲求段階説」「欲求5段階説」と呼ばれています。

下記のような階層に分かれています。

マズローの欲求5段階説

物理的なことから精神的な世界へ、ピラミッドの上に行くほど達成が難しくなります。

音楽家に限らず、社会で働いている多くの人は上位2つの「承認(尊重)欲求」「自己実現の欲求」で悩み、もしくは悩みと呼べないようなモヤモヤしたものを抱えていると思います。

承認(尊重)欲求とは

冒頭で説明した外側からと内側からの承認についてです。

自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求。尊重のレベルには二つある。低いレベルの尊重欲求は、他者からの尊敬、地位への渇望、名声、利権、注目などを得ることによって満たすことができる。マズローは、この低い尊重のレベルにとどまり続けることは危険だとしている。高いレベルの尊重欲求は、自己尊重感、技術や能力の習得、自己信頼感、自立性などを得ることで満たされ、他人からの評価よりも、自分自身の評価が重視される。この欲求が妨害されると、劣等感や無力感などの感情が生じる。

Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%AE%9F%E7%8F%BE%E7%90%86%E8%AB%96

低いレベルの尊重欲求

低いレベルの尊重欲求は、他者からの尊敬、地位への渇望、名声、利権、注目などを得ることによって満たすことができます。

現代ではSNS依存の問題として語られることが増えました。

マウントやパワハラをしてくる人もこの「相手より優位に立ちたい」気持ちが強すぎた結果と考えられます。


他者から「好かれること」「リスペクトされること」「注目されること」だけを基準に音楽をやってしまうと、いつか辛くなってきます。
他者は変わっていきます。

他者の評価に依存するということは誰かの価値観の中で生きていることになります。
頭の中がこの欲求でいっぱいだと、他者の言葉に右往左往・一喜一憂して疲れてしまいます。

また「他者との比較」であり自分よりも下の他者を必要とするので、全員が同時にこの欲求を満たすことは出来ません。

(全員この欲求を持っているとは限りませんが)

レッスンを例に考えてみると

生徒が「先生に褒められるため」「好かれるため」ずっと音楽をしているようでは、先生から離れたときに「その生徒自身の音楽」は出来ません。


誰もが持ちうる欲求であり、強いモチベーションとなる承認(尊重)欲求ですが、
生徒がその低い承認(尊重)欲求だけで進んでしまわないよう、先生側も考える必要がありそうです。

 

先生から離れない、言うことを聞く、先生に対して良くふるまってくれる生徒。
先生にとっては都合よく、気分いいのかもしれませんが。

高いレベルの尊重欲求

自分を見つめるお猿さん

高いレベルの尊重欲求は、自己尊重感、技術や能力の習得、自己信頼感、自立性 などを得ることによって満たすことができます。

さきほどのマズローの自己実現理論のピラミッド。
ピラミッドの上に行くほど達成が難しくなります。
自分で自分を認めるのは案外難しいものです。

自分の中に理想がある状態。

「承認〇つの段階」

自分を認めるために必要なのは自分自身のみ、とは限らず他者とのコミュニケーションの中で育つことも考えられます。

他者からの承認 「承認〇つの段階」 をざっくり分けると

・結果承認
・行動承認
・存在承認


なのですが、他者からの「行動承認と存在承認」が自己尊重感や自己信頼感を高めることに繋がりそうです。

(反対に、「結果承認」に偏ってしまうと低いレベルの承認(尊重)欲求を加速させてしまいそうです。)

「承認〇つの段階」で検索すると色々なサイトで紹介されています。
(〇には3~6の数字が入ります。シンプルだったり細分化されていたり。)

とどまり続けない

以上の承認(尊重)欲求、誰しもが経験し持っているものなのではないかと思います。

マズローも言っているように、低いレベルの尊重欲求にとどまり続けないことが大切です。

先ほどのレッスンの例え話ですが、
生徒が低い尊重欲求に留まらず 高い次元で音楽に臨めるよう、指導者は生徒をよく観察し道を示すべきだと思います。

めざせ!自己実現

自己実現の欲求 (Self-actualization)

以上4つの欲求がすべて満たされたとしても、人は自分に適していることをしていない限り、すぐに新しい不満が生じて落ち着かなくなってくる。自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化して自分がなりえるものにならなければならないという欲求。すべての行動の動機が、この欲求に帰結されるようになる。芸能界などを目指してアルバイト生活をする若者は、「社会要求」「承認の欲求」を飛び越えて自己実現を目指している。

Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%AE%9F%E7%8F%BE%E7%90%86%E8%AB%96

簡単なことではありませんが、知っているのと知っていないのとでは大きく違うと思います。

自分が自分らしく生きるために、誰かが決めた価値観ではなく自分の価値観で生きるために知っておきたい言葉ですね。

まとめ

他者の評価に依存する「低いレベルの尊重欲求」だけで音楽に取り組むのは危険ですし、それを指導者が良しとし、煽ることはさらに危険です。

決して楽ではありませんが、生徒を自己実現の欲求へと案内することが指導者に求められていると思います。

音楽家は人から見られ聴かれ評価される職業ではありますが、

他者からの尊敬

地位への渇望etc.

よりも

技術や能力の習得

自己信頼感

自立性

に重点をおいて、さらなる高みを目指したいですね。


何かムカつくことや気に食わないことがあったとして、相手にイライラするするのはちょっと置いといて、心理学を使って考えてみる。
すると、感情に振り回されず建設的に考え行動できるようになります。

マウントやパワハラをしてくる「相手より優位に立ちたい」人たち。

そういった人は相手に何かアピールしないと不安で不安で仕方ないのです。
もしかしたら幼少期に「所属と愛の欲求」を満たせなかったのかもしれません。

なんて考えてみると、相手がだんだん可愛く見えてきます。笑


他者はコントロールできなくても自身はコントロールできる。

心理学は自身の意識と無意識の間、他者と自身の間を照らしてくれる光のようです。

生涯にかけて学び続けたい分野です…!

それでは、また!


  • この記事を書いた人

よしおか りな

埼玉県川越市・新座市を拠点にマリンバや打楽器を演奏したり教えたり、作曲したり、部活動指導員やNPO理事やっている人。場面緘黙の経験やHSP気質を活かしながらお仕事してます。 alla(アラ)はイタリア語で「…のように」を意味します。しなやかに、たくましく、ミネラル豊富でダシにもお茶にもラッコのお布団にもなる…そんな昆布に憧れます。当ブログは硬くなりすぎず、絶妙な歯ごたえと素朴な旨みでお送りしたいと思います。どうぞ、よしなに!

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