打楽器の吉岡です!
今回は2023年度吹奏楽コンクール課題曲I行進曲「煌めきの朝」について演奏のポイントをまとめていきます。
このシリーズではパート譜を見ているだけでは分からないポイントをピックアップしています!
もくじ
曲全体
「煌めきの朝」ということで、キラキラした爽やかな雰囲気の行進曲ですね。
華やかに演奏する部分、スネア以外ほぼ休みになる穏やかな中間部、とメリハリをつけて演奏していきたいですね。
4拍子の行進曲(コンサートマーチ)も多い中、この行進曲は2拍子で書かれています。
吉岡さん(中2)
と思った方は、この記事↓を是非読んでみて下さい。
中間部以外は打楽器の音数が多いため、パート譜の情報だけで演奏していると騒がしくなってしまう危険性もあります。
たたけば音が出てしまう打楽器。
打楽器と管楽器が分離した演奏にならないように、打楽器も「息」を使って鳴らすイメージを持って演奏していきましょう!
この部分は打楽器らしさ20%、管楽器に溶け込んでる度80%、など音や場面によって使い分けができるとより表現の幅が広がると思います。
Perc.1 スネアドラム
スネアはテンポキープの役割を持ちながら、様々な役割を任されています。
時には低音楽器と一緒、時にはフルート・クラリネットと一緒に動いて輪郭を強調することもあります。
ストロークの種類や打つスピードを使い分けて、スタッカートやテヌートなどのアーティキュレーションを繊細に表現していきましょう!
アクセントは「強く」だけではなく、「濃く」「深く」とも考えることができます。
自分が普段の会話で話すときに軽くアクセントをつけるようなイメージを持って演奏していきましょう!
迷った時はスティックを置いて、口でリズムを歌ってみたり手で直接叩いてみたりするものオススメです。
ロールしやすいスティックがある!?
チューニングにもチャレンジ!
打楽器のチューニング、初心者でも誰でもいいから挑戦してくれ!~手順とコツ
イントロ
華やかな金管楽器+サックスのファンファーレに参加しつつ、低音楽器の動きや木管のメロディに寄り添ったりしています。
スネアだけども音程が聞こえてくるような、ハーモニーに参加するつもりでたたいてみると、一体感を持って盛り上げられます。
アクセントの音はただ「強く!」にならないように「まとめる」「集中させる」「深くする」「濃くする」など色々なイメージで試してみて下さい。
同じ動きをしているパートを歌いながら叩いてみるにもオススメです。
A~E
管楽器と「馴染ませる」部分と、打楽器らしく「目立つ」部分のメリハリをつけていきましょう!
ホルンが一緒に裏打ちしています。
自分もホルンのハーモニーに参加している気分で、軽快に裏打ちしていきましょう!
裏打ちについての記事
42小節目や44小節目1拍目の「タッタカ」が切り離されているのは、1拍目の裏拍から改めてグルーピング(まとめる)してほしい、という作曲者からのメッセージです。
他にも似たような箇所が出てくるので、チェックしておきましょう!
F
金管楽器やサックスの華やかなファンファーレと一緒に動いています。
Fからバシッと雰囲気を変えて、ファンファーレにクッキリした輪郭を付けてあげましょう!
「点」の音楽にならないように、音価(音の長さ)によるエネルギーの違いも大切にしていきましょう!
90小節目などを声に出してみると分かりやすいのですが、「タタータ」と「タタッタ」だと全く印象が変わります。
(「タタータ」の方が長い音にエネルギーが多く感じられ、「タタッタ」だと全て同じエネルギーに揃えられていることになります)
打楽器の八分音符+八分休符と四分音符は同じなのか?
92小節目1拍目の裏からは新しいフレーズの始まりになるので、一瞬でTrioの雰囲気に切り替えましょう!
音楽を座標化して演奏にメリハリを!いま出してる音、どのへん?
G~
音量を小さくしても、テンポはもちろん推進力は弱まらないように前へ前へ進めていきましょう!
元気いっぱい縄跳びしていたのを、そのままのテンポで静かに大人しく跳ぶようなイメージもいいですね。
存在感のあるピアノとは?
K~
Kから8小節間はまた裏拍からグルーピング(まとめる)していきましょう!
長くロールしている最中はどこかのパートが動いています。
一緒に動いているパートをよく聴いて、スネアもハーモニーに参加するようにロールしていきましょう!
かっこいいクレッシェンドのコツとは?
Perc.2 シンバル
シンバルとバスドラムは切っても切れない「ニコイチ」です。
バスドラムの低音に乗っかって、華やかに鳴らしていきましょう!
(基本的に音量はシンバル<バスドラムだとブレンドしやすいです。)
アクセントの音はただ「強く!」にならないように「まとめる」「集中させる」「深くする」「濃くする」など色々なイメージで試してみて下さい。
同じ動きをしているパートを歌いながら叩いてみるにもオススメです。
スネア・バスドラムに比べるとシンバルは出番が少ないですが、音楽を華やかに盛り上げる役割をもっています。
常に管楽器のハーモニーに参加するつもりで演奏していきましょう!
合わせシンバル、いい音を出すには?
合わせシンバル(クラッシュシンバル)をイイ音で鳴らすための基本3つ
イントロ
低音楽器と一緒に動いています。
パート譜上は1小節目も3小節目も5小節目も同じ「フォルテで二分音符にアクセント」ですが、3回とも和音が違うのでシンバルもハーモニーに参加するつもりでたたいてみると、管楽器と一体感をもちつつ華やかなサウンドになっていくと思います。
A~B
バスドラムと一体感を持って演奏していきましょう!
合わせシンバルで「ピアノ」を演奏するときは、2枚が当たるスレスレで構えてから打ち合わせられる腕のコントロール力と楽器を支える筋力が必要です。
いつでもスグにスッと構えられるようにすると、狙ったタイミングで安定してたたけるようになります。
吉岡さん(中2)
という箇所が時々出てきますが、全て理由があって書き分けられています。
どちらの表記でもたたくタイミングは同じですが、意識するだけで演奏が大きく変わってきます。
たとえば、48小節目の1拍目はフレーズの終わりで、1拍目の裏からアウフタクトが始まっているため、あえての八分音符になっています。
一か所一か所こだわっていきましょう!
四分音符は四分音符だけど…?
C
低音楽器がフォルティッシモでメロディを吹いています。
雰囲気に合わせて重厚な音色で盛り上げていきましょう!(リズムは重くならないように注意!)
F
金管楽器とサックスの華やかなファンファーレが響く場面。
バスドラムと似た動きをしています。
2種類のアクセントが出てきますが、ただ強い音にならないように、管楽器と一緒にハモっている感覚を忘れずに弾いていましょう!
打楽器うるさい問題、弱くたたくだけでは解決しない!?~管楽器とブレンドする方法
88小節目はデクレッシェンドが書いてあります。
更に八分休符まで書いてあるので、いったんシンバルを止めてから89小節目に入ると強弱のメリハリがつくと思います。
音価を守って、92小節目の1拍目で音を止めるようにします。
先ほどと同じく、1拍目の裏から低音楽器のアウフタクトが始まっているためにあえての八分音符になっています。
K
バスドラムと一緒に盛り上げていきます。
同じリズムが繰り返されますが、2小節おきに移り変わるハーモニーを感じながら演奏していきましょう!
L~
バスドラムとの一体感を持ちつつ、シンバルらしいゴージャス感を出していきましょう!
アクセントがついた198小節目や200小節目は曲の終止に入る合図です。
目立たせていきましょう!
Perc.3 バスドラム
低音パートと意気投合しましょう!
それからシンバルとバスドラムは切っても切れない「ニコイチ」です。
シンバルの華やかさをバスドラムの低音で支えていきましょう!
基本的に音量はシンバル<バスドラムだとブレンドしやすいです。
ティンパニとの一体感も大切です。
アクセントは「強く」ではなく、「濃く」「深く」とイメージしたほうが良さそうです。
打面だけではなく裏側の皮も振動することを意識して、低く頼もしい音で演奏していきましょう!
四分音符は四分音符だけど…?
イントロ
低音楽器と一緒に動いています。
パート譜上は1小節目も3小節目も5小節目も同じ「フォルテで二分音符にアクセント」ですが、3回とも和音が違うのでバスドラムも低音としてハーモニーに参加するつもりでたたいてみると管楽器と一体感をもちつつ華やかなサウンドになっていくと思います。
練習時にチューバの左側で一緒に演奏して、息の使い方やブレスを真似してみるのもオススメです。
アクセントの音はただ「強く!」にならないように「まとめる」「集中させる」「深くする」「濃くする」など色々なイメージで試してみて下さい。
同じ動きをしているパートを歌いながら叩いてみるにもオススメです。
A~B
イントロと同じく、低音パートを歌えることが大切です。
一打一打で音楽を前へ進めていくつもりで演奏してみてください。
44小節目1拍目の八分音符が切り離されているのは、1拍目の裏拍から改めてグルーピングして(まとめて)ほしい、という作曲者からのメッセージです。
他にも似たような箇所が出てくるので、チェックしておきましょう!
C
低音楽器がフォルティッシモでメロディを吹いています。
雰囲気に合わせて重厚な音色で盛り上げていきましょう!(リズムは重くならないように注意)
D
打楽器がやりがちな「点」の音楽にならないように、音価(音の長さ)によるエネルギーの違いも感じながら演奏していきましょう!
57~58小節目などを声に出してみると分かりやすいですが、「タンウンタンタン」と「ターーンタンタン」だと全く印象が変わります。
(「タンウンタンタン」全て同じ大きさのエネルギーに揃えられていて、休符のない「ターーンタンタン」方が長い音にエネルギーが多く感じられます。)
打楽器の八分音符+八分休符と四分音符は同じなのか?
音のスピード感やミュートの加減などを工夫して、是非たたき分けていきましょう!
(人によっても、楽器によってもやり方は変わってきます!)
バスドラムはスネアドラムと共にテンポキープの要(かなめ)になります。
メトロノームを裏打ちor2&4拍めで鳴らして練習して、テンポキープ力を磨いていきましょう!
【管楽器も初心者も】メトロノームをアフタービートで鳴らして安定したテンポ感へ!
F
金管楽器とサックスの華やかなファンファーレが響く場面。
シンバルと似た動きをしています。
2種類のアクセントが出てきますが、ただ強い音にならないように、管楽器と一緒にハモっている感覚を忘れずに弾いていましょう!
打楽器うるさい問題、弱くたたくだけでは解決しない!?~管楽器とブレンドする方法
先ほどの44小節目と同じく、1拍目の八分音符が切り離されているので1拍目の裏拍から改めてグルーピングして(まとめて)いきましょう!
音価を守って、92小節目の1拍目表迫までで音を止めるように意識します。
1拍目の裏から低音楽器のアウフタクトが始まっているためにあえての八分音符になっています。
存在感のあるピアノとは?
H
長く休んだ後ですが、直前の低音楽器の八分音符「ミレドシ」を受け取ってスムーズに入っていきましょう!
一緒に動いている低音楽器は八分音符+八分休符、コントラバスはピチカートで弦をはじいて演奏しています。
四分音符ではありますがバスドラムも軽快にコンパクトにまとめるような音にすると府に気によく合うと思います。
K
シンバルと一緒に盛り上げていきます。
同じリズムが繰り返されますが、2小節おきに移り変わるハーモニーを感じながら演奏していきましょう!
L~
シンバルとの一体感を持ちつつ音楽を前へ前へ進めていきましょう!
アクセントがついた198小節目や200小節目は曲の終止に入る合図です。
目立たせていきましょう!
アクセントの付いた音には「スピード感」が求められることがあります。
コツをつかむには色々な方法がありますが、音のスピード感は打面を手で押して空気穴から出てくる風を速くする練習がおススメです。↓
音のスピード・深さって何?太鼓を押して感覚をつかもう!【初心者おすすめ】
Perc.4 ビブラフォン
グロッケン、フルートやクラリネットと同じ動きをしていることが多いです。
グロッケンの音色とブレンドしたキラキラサウンドを目指しましょう!
また、打楽器は叩けば音が出ますが、1音1音を歌うことが音楽的な演奏に繋がっていきます。
鍵盤打楽器も1音1音を歌うつもりで弾いていきましょう!
鍵盤打楽器で歌う…?
イントロ
ペダル記号は書いてありませんが、スラーで踏みかえたり部分によってはハーフ・ペダルで演奏するなど試して管楽器の息遣いに近づけていきましょう!
マレットの選択ですが、毛糸巻きよりは綿巻きのクリアーなサウンドの方が曲に合っていると思います。
マレット選びも実力のうち!
初めて買うMyマレット!選び方、予算、おすすめは?【マリンバやビブラフォン】
F
木管高音と同じ動きをしています。
手順を確定させたり切り分けて練習して、十六分音符が均等になるようにしていきましょう!
ペダルを全開に踏んでいるとデクレッシェンドに聞こえないので、88小節あたりで一度踏みかえてみるのも手です。
ビブラフォンは音が通りにくい楽器なので、遠くまで響かせるイメージで思い切ってたたきましょう!
2本マレットの持ち方2種類を試してみよう!
打つスピードや弾き方を使い分けて、ビブラフォンでもスタッカートやスラーを表現していきましょう!
音価を守って、92小節目の1拍目で音を止めるようにします。
先ほどと同じく、1拍目の裏から低音楽器のアウフタクトが始まっているためにあえての八分音符になっています。
K~
高音の木管と一緒に動いています。
普通に弾くとトリルの音が大きく聞こえてしまうので、スラーの頭に重み→二分音符トリルで軽くなるように意識していきましょう!
Perc.5 グロッケン
フルートやクラリネットと同じ動きをしていることが多いです。
ヴィブラフォンの音色とブレンドしたキラキラサウンドを目指しましょう!
打楽器は叩けば音が出ますが、1音1音を歌うことが音楽的な演奏に繋がっていきます。
鍵盤打楽器も1音1音を歌うつもりで弾いていきましょう!
鍵盤打楽器で歌う…?
イントロ
グロッケンであっても打つスピードや弾き方を使い分けて、管楽器の息遣いに近づけていきましょう!
マレット選びも実力のうち!
A~
普通に弾くとトリルの音が大きく聞こえてしまうので、スラーの頭に重み→二分音符トリルで軽くなるように意識していきましょう!
スラーごとにグロッケンに雑巾がけをするようにしていくと、スラーのように鍵盤楽器を弾くヒントになります。
2本マレットの持ち方2種類を試してみよう!
F
手順を確定させたり切り分けて練習して、十六分音符が均等になるようにしていきましょう!
音価を守って、92小節目の1拍目で音を止めるようにします。
先ほどと同じく、1拍目の裏から低音楽器のアウフタクトが始まっているためにあえての八分音符になっています。
H
「メゾピアノ」でも、テンポはもちろん推進力や勢いが弱まらないように注意していきましょう!
存在感のあるピアノとは?
K~
高音の木管と一緒に動いています。
普通に弾くとトリルの音が大きく聞こえてしまうので、スラーの頭に重み→二分音符トリルで軽くなるように意識していきましょう!
終わりに
以上、2023年度課題曲I行進曲「煌めきの朝」の打楽器演奏のポイントでした!
スコアを読み込むことで、
「どう演奏したらいいか?」
「この音にはどんな役割があるのか?」
知ることができます。
スコアや楽譜の読み解き方はこちらの記事を参考にしてみてください。
打楽器の出番少ない!つまらない!いやスコアを読めばきっと面白くなる!
また、「打楽器の音が大きすぎる!小さくしろ!」「管楽器と混ざらない!」問題については以下の記事を参考にしてみてください。
打楽器うるさい問題、弱くたたくだけでは解決しない!?~管楽器とブレンドする方法
それでは、また!