部活動指導員・吹奏楽部

【部活動の地域移行】従来のイメージを覆すことが実現のカギ!

2022年6月15日

こんにちは!吹奏楽部の部活動指導員をやっています吉岡です。

令和5年より大きく動き出す公立中学校の「部活動の地域移行」。

これまで学校主導でやってきた部活動をそのまま地域主導へ移すことはできません。

よって、今までの部活動のイメージを払拭して新しい活動を創造するつもりで柔軟に考えていく必要があります。

今回は諸外国の例も挙げつつ、部活動の地域移行に不可欠となる「イメージの転換」について書いていきます!

現状をなんとかしたくてNPO作っちゃいました

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そもそも地域移行って?

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従来の部活動のイメージ

教室に並んだ机といす

今までの公立中学校の部活動というと、

  • ほぼ毎日、学校で

  • 学内の生徒や先生と

  • 大会に出場する

  • 1つの部活に入部、3年生で引退

  • 受験(内申点)に影響する可能性があるetc.

ざっくり挙げるとこのようなイメージになるかと思います。

学校部活動と地域部活動を比較すると

想定されている活動、もしくはすでに実施されている地域部活動の報告書が文化庁より発表されています。

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この資料を見ていただくと分かるのですが、地域主導の部活動は従来のイメージに対して以下のような変化が考えられます。

  • ほぼ毎日学校で

    ➡週1~3回程度でも可、場所は学校に限定されない

  • 学内の生徒と先生と

    ➡生徒・指導者ともに学外の人も一緒に

  • 大会に出場する

    ➡大会に出ても出なくても良い

  • 1つの部活に入部、3年生で引退

    ➡1つの部活を無理に続けなくていい、中学3年間に限らず小学生も高校生も参加できる活動など、掛け持ちも可

  • 受験(内申点)に影響する可能性

    ➡ほぼなくなる

上記はざっくりとした比較ですが、「学校」という閉鎖的な環境から地域社会での開放的な活動に切り変わることで、様々な変化が起こると考えられます。

地域移行による変化と課題

idia

学内の部活動では実現できなかった様々な選択肢が増えると考えられます。

ただし、都市部と地方では同じように進められない部分も出てくるため、今後の課題となりそうです。

活動場所が学外になる賛否

完全に学外、あるいは平日は学校で週末は学外、などもあり得ると思います。

学外の場合、学校や自宅からの距離によっては保護者の送り迎えが必要になってくるかもしれません。

(諸外国の活動でも、保護者の送り迎えの負担が一番のネックになっているようです。)

なるべく通常の活動場所は自転車やバスなどで行動できる範囲にとどめたいところです。

また、自転車やバスで生徒が移動する場合、事件や事故に巻き込まれるリスクも高くなるち不安に思われる方も多いかと思います。

しかし、裏を返せば生徒が社会で安全に行動するための、あるいは自身の行動に責任を持つために必要な経験になるのではないかと考えることも出来ます。

学区や年齢にとらわれないメンバー構成

地域の部活動とすることで、異なる学区の生徒が集まる可能性もあります。

また、文化庁のモデルケースによると、中学生のみではなく小学生~高校生など広い年齢を対象としている部活動もあります。

人口が少ない地域、あるいはそうでなくても子どもから大人まで一緒に活動することで、活動が円滑になるケースもありそうです。

従来の部活動よりさらに異なる属性を持つ相手との人間関係が広がることとなり、コミュニケーション力の向上が期待できます。

また、学校と部活動でメンバー構成が変わるため、いじめの減少に繋げられるとの研究もあるようです。

(部活動での問題やいじめが起こる原因の一つとして「閉鎖的な空間で長い時間を共に過ごす」ことが挙げられます。)

同内容でコンセプトが異なるクラブ

学校部活動の場合「吹奏楽が命!コンクールで絶対金賞獲りたい!」といった高い目標を持つ生徒も、「運動が苦手。でも音楽だったら楽しめそう」など消去法で吹奏楽部を選んだ生徒もいます。

これが部活動の地域移行で学校単位にとらわれない活動になれば、同じ吹奏楽部であっても「毎日練習してコンクールを目指すチーム」「週2回の練習でコンサート演奏をメインにするチーム」などコンセプトを分け、子どもたちが選択できるようになります。

ちなみに、アメリカをはじめ海外では本格的な活動をするクラブチームには入部試験を設けているそうです。

入部試験に落ちてしまった、そもそも趣味の一つとしてやってみたい場合には入部試験の無いチームで活動することもできるでしょう。

ただし地方になると生徒数や場所が限られるため、選択肢が狭まる課題があります。

費用面

公立中学校の場合は生徒から集める部費、生徒会費などが主な資金です。

学校で活動する場合は場所代や備品代もかからず顧問の先生もセットでしたが、学外での活動になると新たに場所代や備品使用料、指導者への謝礼が発生します。

そこで学校で行う部活動よりも部費を高くした場合、経済的理由から参加できない子どもも出てきます。

このような「部活動の習い事化」は避けるべきです。

費用面の対策として、地域に根差したクラブ活動として活動場所の減額や無償化へ実現を行政に求める、使用しなくなった学校備品の融通、寄付やスポンサー企業の募集、NPO団体によるの支援など新しい取り組みが必要になると考えられます。

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地域に根差したクラブ活動

ドイツでは学校に部活動は無く、NPO団体(特定非営利活動法人)運営のスポーツクラブがその代わりを果たしているようです。

全国各地、大都市はもちろんのこと小さな村にもほぼ必ずあり、子どもたちも大人たちもスポーツに親しんでいます。(日本の商業スポーツクラブとは異なる。人口11万人の町にスポーツクラブが100件あったりする)

クラブ名に地名が入っていることが多く、地元チームとして地域をあげて応援したり盛り上げています。

地域の特色を盛り込みその地域らしい活動を展開できれば、地域を盛り上げることに繋げられるのではないでしょうか。

活動に参加する子どもたちにも地元地域への関心や愛着が育まれ、ゆくゆくは人材の流失を防ぐことにも繋げられるかもしれません。

講師も地元の人材を活用することでコストをおさえられます。そのクラブで育った人が講師になったら安心ですよね。

幅広い年齢層を対象とした活動にすれば、講師に頼りっぱなしにならずメンバー同士で教え合うこともできるでしょう。
(そのクラブのOGである大学生がボランティアで小学生を教えている、大会を目指すクラブではないので大学生自身も楽しみながら教えている、というケースもあるようです。)

また、講師への謝金はある程度必要だと思いますが、たとえ薄謝になってしまっても「地元のためなら!」と前向きに協力してもらえる可能性があります。(ドイツの場合はボランティアが多い)

寄付や地域住民の理解、行政によるバックアップを図るには地域全体に良い影響をもたらす「まちづくり」に関連させ、戦略的に活動を展開する必要があると考えられます。

スポンサー企業の募集

Jリーグやプロ野球のようなものです。

プロチームの下部組織として地域部活動を展開する、地元企業が地域部活動の一部費用を負担するなどといった方法が考えられます。

イベント時に広告を載せたり、ユニフォームやチーム名に企業名を入れるといった宣伝効果の他、地元企業として地域を盛り上げたり、地域住民からの信頼や協力も得やすくなるかもしれません。

部活動認定制度の導入

これまでの部活動は全国各地に用意された公立中学校で、責任の所在も明確な状態であり、ある程度の安全が確保された「学校内」で運営されてきました。

部活動が学校主導から離れることにより、一般企業やNPOなど様々な団体に運営が任されることになります。

このままだと安全管理や運営が不十分であったり、責任の所在が不明確な「質の悪い部活動」が紛れ込み、新たな問題が起きる可能性が考えられます。

そこで、安全性を担保するため国や市町村が「地域部活動」として認定し、教育の一環として取り組んでいく仕組みを取り入れるのはいかがでしょうか。

「認証・認定保育園」のような仕組みで国や市町村が定める基準を満たした「認証・認定地域部活動」の制度をつくり、健全で安定した運営・子どもたちが家庭の経済的事情に左右されずに参加できる環境を全国的に整えます。

認証・認定されることで安全性をアピールできると共に、行政が一部費用の助成や公共施設使用料の減額などを図り、全国の子どもたちになるべく均等に機会が与えられるようにするイメージです。

ただしこのような制度が実現したとしても、地域社会にとって歓迎される部活動を継続し、寄付やスポンサー料、広告収入などから資金を自ら調達する努力は必要だと思います。

アマチュアが元気になると経済も回る?

筆者は音楽を生業としているためプロの立場から考えてみると、芸術でもスポーツでもアマチュアが活発になり興味関心を持つ人口が増えることでその業界に活気があふれ、プロも盛り上がり経済的にも盛り上がると思います。
日本では「きちんとできないと恥ずかしい」みたいな空気がありますが、こんなものは無くしていきたい。やりたいことをやれる、自己表現を恐れない社会にしていきたい。部活動の地域移行を契機に、学生やアマチュアの方々がより活動しやすい環境を整えられたらいいなぁ、と考えています

※プロとアマチュアの定義についてですが、例えば音楽の場合「プロ=音楽を仕事としている人」「アマチュア=音楽するけど他に仕事を持っている人」として考えています。実力の差は全く関係なく、音楽で食っているか食っていないかの違いです。

おわりに

以上、部活動の地域移行について「従来のイメージを覆すこと」についてでした。

子どもたちが部活動を通して自分の好きなことや得意なことを見つけたり磨いたり、生涯にわたって長く活動できる下地づくりができたらいいですよね。

また、気軽に参加できる活動にすることで、長く付き合える地元の仲間を得るなど、地域社会との繋がりを持つ契機にもできるのではないでしょうか。

部活動の地域移行を「ただの移行」で済ませず、地域一丸となってで子どもたちを育てる「新しい活動」として生まれ変わらせる必要があります。

子どもの教育は国の未来そのものだと思います。


ごめんなさい、この記事はかなり取っ散らかっているのでそのうちにリライトします!

勢いで書いた乱文失礼しました!

それでは、また!


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参考書籍

部活動指導員ガイドブック[応用編]

ドイツの学校には なぜ 「部活」 がないのか

  • この記事を書いた人

よしおか りな

埼玉県川越市・新座市を拠点にマリンバや打楽器を演奏したり教えたり、作曲したり、部活動指導員やNPO理事やっている人。場面緘黙の経験やHSP気質を活かしながらお仕事してます。 alla(アラ)はイタリア語で「…のように」を意味します。しなやかに、たくましく、ミネラル豊富でダシにもお茶にもラッコのお布団にもなる…そんな昆布に憧れます。当ブログは硬くなりすぎず、絶妙な歯ごたえと素朴な旨みでお送りしたいと思います。どうぞ、よしなに!

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