こんにちは!部活動指導員(吹奏楽)4年目の吉岡です。
文部科学省の「令和5年度からの部活動の地域移行」、発表から1年が経ちました。
今回はどのような方法が計画されているのか、まとめていきたいと思います。
部活動の地域移行とは何か?については全開の記事をご覧ください。↓
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吹奏楽部の地域移行
少子化、部員数減、学校の立地や地域性など、地域によって事情が大きく異なるなか、どのような移行案が進んでいるのか?
市町村の例を挙げながらまとめていきます。
外部指導者・部活動指導員の活用(学校拠点)
ここ数年で全国的に広がりつつある部活動指導員。
現状として部活動指導員は需要に対して担い手が少ない状況です。
今年度は12億円を予算化し、全国で1万800人の配置を目指している。しかし、現時点で確保されているのは6000人ほどで、4000人程度の空きがあるという。
https://www.kyobun.co.jp/close-up/cu20210622/
部活動指導員の費用は国・都道府県・市町村で3分の1ずつ負担するため、市町村によっては財政的に厳しい現状です。
また、外部指導者や部活動指導員が指導することによって教員の負担は軽減しますが、土日や休業期間中は教職員が出勤する必要があります。
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拠点校での合同バンド化
複数校の生徒がどこかの学校に集まって活動をするスタイルです。
部員数が少ない学校も充実した練習・合奏ができます。
拠点校1校で活動するため、各校で活動するより教員の負担が大幅に軽減できます。
ただし、地域によっては隣の学校であっても離れているため、学校間の交通アクセスが悪い場合は活動が難しくなります。
特に学校間が離れている地方では、保護者の送り迎えや生徒の移動が負担になる可能性もあります。
また、ある程度部員数が多い学校には向いていません。
土日のみ地域バンドで活動
平日は学校で練習、土日は郊外で活動するスタイルです。
完全に地域へ移行する前段階として、多く活用されそうな方法です。
イメージとしては平日は学校で自主練習、土日は外部指導者がいる状態で合奏したり指導を受ける感じになるかと思います。
運営上、全国大会など上位大会にに進むことは厳しいが、少子化・部員数減の現状を鑑みると検討する価値はあると思います。
拠点を文化施設へ
地域の市民会館や文化施設で活動するスタイルです。
学校単位ではなく小学生から高校生まで学年問わずに参加できる音楽クラブにするといった動きもあります。
(すでにそのような形態で活動している団体もあります。)
愛知県の一部地域では、廃部にした小学校の楽器を市民会館に集め、地域活動で行う方針にしているそうです。
また、静岡県掛川市では学校単位を越えた地域クラブと合同で活動する計画も進められています。
城東中の吹奏楽部は6月から正式に活動を始める掛川文化クラブ(理事長・佐藤真澄掛川西高教員)と合同で活動する計画を立てている。市内の学校に呼び掛けて余剰の楽器を集めた。楽器ごとに奏法が違うことから、地元の大学生や市内の楽団員など多彩な奏者をそろえ、個別指導を可能にした。クラブは小学4年生以上を対象としていて、学校を超えた音楽活動の場作りを目指す。
https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/912802.html
掛川市の地域部活の取組
市民会館などの文化施設が担い手となってバンドを作っていき、バンドが働きかけて予算を取り運営していく。
地域や文化施設が音楽文化を育てていくスタイルは、クラシック音楽の本場ヨーロッパのやり方に似ていると思います。
ただし、市民会館や文化施設に楽器を保管できるスペースがあるとは限らないので、地域によっては難しいかもしれません。
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地域移行の課題
地域の実情に合わせた細かな調整が必要
地域によって事情が大きく異なるため、その地域の実情に合わせてカスタマイズしなければなりません。
県外であって似た規模の市町村、同じ課題を抱える地域と情報を共有して、最善の方法を作り上げる必要があると感じます。
2021年9月より、名古屋市の小学校部活動の半数は民間委託になりました。(一般社団法人 全日本吹奏楽連盟会報No.216より)
運動部は地域のスポーツクラブなどを活用できましたが、金管バンドについては生涯学習課や民間委託業者にノウハウが無く、地域移行には手間取ったようです。
また地域によっては、「部活動は教育であり学校主体」の考えが根強く、地域とのすり合わせがなかなか進まない場合もあるようです。
地域移行の「完成図」がイメージしづらい
吹奏楽部の場合、地域移行の「完成図」のイメージが共有しにくいため、難しいことと思います。
部活層の地域移行は、教員の負担軽減だけではなく子どもたちにとっても良い選択をしなければなりません。
つまり、学校だけの問題ではなく地域社会の問題になってくると思います。
楽器の種類が多く専門性も高い吹奏楽部の運営に至っては、吹奏楽連盟や指導者協会などの組織とも連携を取って進めていく必要もあります。
ここ数年で地域移行の動きが活発化してきているので、しだいに地域移行のな形態が登場することと思います。
地域の未来を支える子どもたちのために、地域移行をポジティブに捉えていきたいものです。
【2022年5月追記】
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まとめ
以上、現時点で進められている吹奏楽部の主な地域移行の方法でした!
- 外部指導者・部活動指導員の活用(学校拠点)
- 拠点校での合同バンド化
- 土日のみ地域バンドで活動
- 拠点を文化施設へ(完全移行)
今後も動きに注目していきたいと思います。
それでは、また!
【2022年5月追記】
現状をなんとかしたくて文化部の地域移行を支援するNPO法人を立ち上げました!↓
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