こんにちは!部活動指導員として吹奏楽部に携わっています吉岡です。
8月に入り、吹奏楽コンクールも一段落ついたところかと思います。
私も昨年に引き続き、今年も指揮者として生徒たちと一緒にコンクールに出場してきました!
これまで活動停止や歌唱禁止、学年閉鎖など数々の困難とアクシデントを乗り越え最後まであきらめずに音楽と向かい合った生徒たち、その生徒たちを支え続けた先生方や保護者の並々ならぬご尽力を思うと胸にこみ上げるものがあります。
また、コンクール開催に至るまで大変なご苦労をされてきた大会関係者および審査員の皆さまに心より御礼申し上げます。
さて、そのような中での今年のコンクール。
今回は点数の付け方が例年と違う方式になっていて驚きました。
なにか理由があって変更したものと思われますが、これは明らかに改悪なのでは…と感じたので書いていきます。
そもそも地域や支部、部門によって審査方式が異なるので、私が出場した地区・部門だけの変更かと思います。
そもそも吹奏楽コンクールの審査って?
吹奏楽コンクールの審査についてザックリ説明します。
(今回は上下カットや上位大会推薦の話は関係ないので割愛します)
複数人の審査員が項目ごとに点数化
審査員は各楽器奏者や作曲家など5人ほどで、各審査員が各団体に1枚づつ審査用紙を書きます。
この審査用紙は項目ごとの点数表+特に気になった項目に〇△×欄+コメント欄で構成されています。
これまでは、各審査員ごとに「ピッチ(音程)」「表現」「音色」「技術」「曲の理解」などいくつかの項目ごとに10点満点で審査されていました。
各項目の点数を合計して団体点数とし、その日に演奏した団体を金・銀・銅賞いずれかに振り分けられていきます。
(この賞は1~3位に与えられるものではなく、その日出場した全団体に金・銀・銅が振り分けられていきます。よって、金賞は複数団体、銀賞も複数団体が受賞することになります。)
審査員によって評価は異なる
体操競技やフィギュアスケートの審査をイメージしてもらうと分かりやすいかと思います。
たとえば審査用紙に「技術」が9点・「表現」が5点のように付けられてあれば、「うちらの演奏、技術的には良かったけど表現がイマイチだったのかぁ。よし、つぎは表現に力を入れてみよう!」と生徒でも判断することができます。
極端な例になりますが、審査員Aは「技術」が9点・「表現」が5点だったのに対し、審査員Bは「技術」が5点・「表現」が9点という結果もあり得ます。
そのように噛み合わない場合でも、ほかの審査用紙を読むことで「審査員Cと審査員DはAに近い審査をしている。審査員Bのように感じる人もいるけど、客観的には表現がまだまだ弱いんだな。」と、読み取ることができます。
コンクールで演奏して、結果が出て、おしまい。
ではなく、このような審査(講評)用紙=客観的視点を通して生徒自身が考察し成長できる貴重なチャンスになっています。
賞の色に関係なく、今後の活動に活かせる明確なフィードバックが得られる仕組みですね。
内訳不明の100点満点方式
コンクール当日。結果発表が終わり、帰りのバスで審査用紙を封筒を開けたらギョッとしました。
審査員ごとに100点満点で点数が付けられています。
項目ごとの点数は無し、学校名の下にどーんと「〇〇点/100」と書かれています。
他に数字はありません。答案用紙のような審査用紙です。
その下に「ピッチ(音程)」「表現」「音色」「技術」「曲の理解」「リズム」「テンポ」など多くの項目が記載されていますが、特に気になった点について〇△×をつけるだけのものです。
(審査員によっては一つも〇△×が付けられていませんでした。項目として特に気になる点がなかっただけかもしれませんが…)
コメント欄はたくさん書いていただいていて本当に有難かったのですが、審査員の先生方も点数は書きにくかっただろうな…と胸が痛くなりました。
配点が読み取れない審査用紙
顧問の先生と相談したところ、点数部分は生徒には見せずにコメント欄のみ読み上げ・掲示することになりました。
この審査用紙だと、先ほどの「うちらの演奏、技術的には良かったけど表現がイマイチだったのかぁ。よし、つぎは表現に力を入れてみよう!」「審査員Cと審査員DはAに近い審査をしている。審査員Bのように感じる人もいるけど、客観的には表現がまだまだ弱いんだな。」といった考察ができません。
本来数値化できない音楽ではありますが、審査員を通して項目ごとに数値化されることによって自分たちの現状が客観的に分かる=目標が明確に設定できるメリットがあります。(教科ごとの偏差値のようなものですね)
シビアであっても項目ごとに数値化されることによって、自分たちの賞の色を受け入れることにも繋がります。
審査員にとっても、ひと夏かけて練習してきた演奏に対して低い点数は付けにくいでしょうし、項目ごとに数値化していく方が判断しやすく負担も少ないのではないでしょうか。
終わりに
きっと審査員の先生方も「リズムは20点満点中13点、音程は20点満点中16点…」と計算しながら最終的な点数を出してくださったことと思いますが、コメント欄から推測したとしてもその思考を追うことは困難です。
生徒にとっては問題文も配点も不明のまま、テストの結果を受け取っているかのような状態です。
貴重な判断材料が不鮮明にされ、客観的視点を通して生徒自身が考察し成長するチャンスが奪われています。
項目ごとの審査に戻ることを願うばかりです。
それでは、また!